【書評】人間はいつからでも変わることができる。幸せにもなれる。科学的アプローチを通じて具体論に迫った本。〜「幸福優位7つの法則」(ショーン・エイカー著、高橋由紀子訳)

「人間はいつからでも変わることができる。」「幸せになることから始めよう。」

そんなことは知ってる。でもなかなか変えるのは難しいんだ。

…と思う人は多いと思います。もちろん私もその一人です。そうした人間の本質を知り、それでも変えていくための具体的な手法を描いたのが本書です。

個人的な実感としては分かるものの、「これは私だけの悩みではないか…?」と自分の怠け度合いに嫌気が刺すことがありましたが、心理学の実験により、これは人類共通の性質であることが学べます。

そうして、万人の悩みであることを証明した後、それを解決する方法について述べていきます。

最初は胡散臭く感じますが、読了後に本書の素晴らしさが徐々に大きくなってくるような、そんな書籍でした。

また、具体例とか実験の説明も丁寧にされているので、小説のようにテンポ良く読むことができます。

なお、今回この本を読むきっかけとなったのは、こちらのセミナー視聴が要因です。

ポジティブ心理学とは

本書は、いわゆる「ポジティブ心理学」の本です。その存在は聞いたことはあり、ポジティブであることが大切なんだろうな、と思っていたのですが、しっかりとした学問的背景のある学問でした。

「まず、ポジティブ心理学はその考え方を、古代ギリシャの哲学、神聖な宗教の伝統、近代の作家や思想家などから得ている」

「それに加えて、法則や理論を実験的にテストして実証している。…だから、ポジティブ心理学が支持する考え方のいくつかは、まさに常識かもしれないが、それを独特の価値あるものにしているのは、その背後に科学があることだ」

(206ページ)

このように本書内でも紹介されています。つまり、文系的な話と理系的な話のハイブリッドな学問ということです。

哲学者とかが言っていることを科学的に証明しつつ、幸せに生きる道を教えてくれる学問ということであり、このアプローチ自体が興味深いな、と思います。

思想とかの謂れであると、「まぁそうなんだろうけど、でも…」と科学的根拠がないのをいいことに言い訳を作ろうとしてしまいます。少なくとも私はそうです。

しかし、そうした「なんとなく分かっている」ことを科学的に証明してくるので、逃げ場がなくなると言いますか、それだとこうした方がいい、ということが否が応でも分かってしまいます。

だから、考えを変えなくちゃな、とかそうしたことを本当に心から納得することができます。本書を読みながら、普遍的な事柄を根拠を持って、繋がりを意識して整理できてくるそうな、そんな感覚を抱きました。

幸せとは何か

私は、学生時代、特に高校時代〜大学2年前半までをネガティブに過ごしてきてしまったので、「幸せとは何か」というのをずっと考えていました。それでも明確な回答は現在も得られていませんが、そんな抽象的な問への解も本書に記載されていました。

「幸せ…基本的には、「意味や目的の深い感覚を伴う喜び」のポジティブ感情を覚える状態と定義されている。」

分かったようなわからないような微妙な感覚です。

「幸せを三つの計測可能な要素に分けて考えた。「喜び」「夢中になること」「意味を見出すこと」」

少し分かってきました。その上で、

「私にとって幸せとは、「自分の可能性を追求して努力するときに感じる喜び」である。」

とありました。ここでようやく理解できました。その上で、幸せとは心で感じるものだ、という補足もされています。

だからこそ、ポジティブな感情を抱くことは大切であり、その方法論を知ることが大切であることも理解できてきます。

また、本書では「幸せが先立ち、その結果として、その先に成功がある」ということも前提として触れられています。

この説明も書籍の中では丁寧にされているため、納得できます。

抽象的な記載と具体的な記載が双方バランスよくされているのも、学びが多い本だなぁ、と私が思うポイントです。

7つの法則とは

その上で、本書では7つの法則が紹介されています。名称が特殊なのが気になりますが、通して読むと、「なるほど、そういうことね」と分かってきます。

  • 法則1 ハピネス・アドバンテージ
  • 法則2 心のレバレッジ化
  • 法則3 テトリス効果
  • 法則4 再起力
  • 法則5 ゾロ・サークル
  • 法則6 20秒ルール
  • 法則7 ソーシャルへの投資

改めて並べてみましたが、初めて見ると何が何やら、という感じになりますね。

コントロールの円

ここから、法則のうちいくつか紹介していきます。ますは法則5のページのところです。

自分では手に負えない量の仕事が降りかかってきたときに、パニックになり、何から手を付ければいいのかが分からなくなる時が時折あります。

そうしたときは細分化を意識することが大切なのですが、分かってても難しいことです。

このように、人間は急には能力は向上しません。あくまで少しずつ変えていくことが大切なのです。

このことを理論的に展開したのが、法則5のところです。

まず、印象に強く残ったのは、前に進むために必要なことを記載したところです。

「成功に向けてがんばる力をもたらしてくれるのは、自分の行動がものごとを変えるという信念、自分の将来は自分で決められるという信念である。」

自分のことを自分でコントロールするという信念を持つことが大切だと説いています。これだけでも至言ではありますが、これを実際の例を使って説得力を強めているので、この言葉が腑に落ちてきます。

そうはいっても、この抽象的な言葉では、まず何から踏み出していいか分かりません。そこで下記の記載がこの疑問に回答してくれました。

「まず小さな達成しやすい目標に努力を集中することで、仕事を達成するために不可欠のコントロール感覚を取り戻すことができる。」

色々と手を伸ばしてしまうと、頭が混乱してしまうことも記載されてしまいます。そこで、このように一点突破でまずはそれを乗り越えることを述べていました。なお、これがゾロ・サークルのサークルの意味合いでもあります。

それでもまだ、やっていくうちに不安感を感じ、やることに躊躇してしまうかもしれません。その場合のアドバイスがこちら。

「言語情報が入ってくるとたちまちネガティブ感情が静まり、気分も改善され、決断能力が高まることが分かる。…感じているストレスや無力感を言葉で表現することが、コントロール感覚を取り戻す最初の一歩

(193ページ)

ここで、言語化することの大切さが述べられていくのです。具体的なアクションとしては、気持ちを日記に書き出すとか、信頼できる人に話すなどです。やっぱり言葉にすることが大切なんだなぁ、と理解すると同時に、目標達成と日記の関係性についての理解も深まる記載でありました。

なお、次のステップの記載もあり、

「次の目標は状況全体のうち、どの部分が自分にコントロールできて、どの部分ができないのかを見極めること」

となっていきます。この章だけ読んでも得ることがたくさんあるのです。

ソーシャルへの投資

本書では、幸せになり、ひいては成功するためには、周囲からの支えが大切だと説かれています。

実際そうではあるとは思うのですが、とはいえ、ついつい時間がなかったりすると、ないがしろにしてしまうのが実情であるとは思います。私はそういう時が過去いくつかあったので反省しました。

しかし、時間がなくとも、そうした時間を割くことの大切さを本書では解いています。

例がハーバードの学生の成功、失敗例なので納得度合が大きいです。

「私がかかわった有能なビジネスパーソンの大半は、非常に競争的な環境にあっても、人間関係というリソースを蓄積し、わずかでも人と関わる時間を活用することが、試練に対処する備えになるということを知っている。」

競争的で厳しい環境にあるときほど、人間関係が大切です。

その理由もしっかりと明記されています。

「ストレスレベルを下げて、脳が最大限に働くようにし、友人たちから与えられるアイデアやエネルギーやモチベーションを大いに活用していた」

時間に追われるとイライラしてきて、人と話したくなくなり、殻に閉じこもりたくなっていきます。

しかし、そういった対応は、更にストレスを強化させてしまい、脳の持つ能力を制限してしまうのです。

そうした観点でこれまで考えてこなかったので驚きました。人間関係の大切さを再認識させられた章でした。

再起力

逆境から這い上がる力は、大切なものですが、そもそも逆境の性質を知っていますでしょうか。実は、、

逆境はどんなものであれ、自分が想像することほどひどくならない。なぜなら、ひどい結果を予想することによる恐怖は常に、結果そのものよりも悪いからだ。この人間心理の奇妙な性質を知っておくだけで、人生にはつきものの様々な不幸を、より楽観的に解釈することができる。」

こんな性質があります。言われて自分のエピソードを思い出すとそうなのですが、その性質があることを知っておくだけで気が楽になるというのは、逆転の発想だな、と気付かされました。

また、成功についても定義されています。

「成功とは…転んでも転んでも立ち上がること。…不運や逆境を活用して、以前よりも幸福になり、モチベーションを高め、よりよい成果を上げること。」

(180ページ)

成功は最後に成功すればよいのです。そこまでの経過は不問になります。だからこそ、いわゆるレジリエンスといいますか、ゴムのようにしなやかな心を持って、トライ&エラーを淡々と繰り返していくことが大切であると伝えていると理解しました。

おわりに

本書を読むと、人間が使う言葉とか感情の大切さが身に染みて分かってきます。

しかし、そうして我が身を振り返ると、感情を言葉で表現することはあまりしていない自分がいることに気づきました。

感情を言葉にして、人間関係を大切にすること。

こうした小さなことから人間は変わっていくことを学びました。

まだまだ幸せに向けて一歩踏み出したところですが、自分のやりたいことをやりたいようにやっていけるようになっていきたいと思いました。

本はこちら

この記事を書いた人

相羽涼太

相羽涼太

読書、手帳術、旅行記・訪問記・食レポ、ジム(運動、食事)、英語学習などを中心に記事を更新します。

インターネットの登場で、「考える」ことが減りがちな今こそ、自分なりの軸を持って、考え、発信していくことを大切にしたいと考えています。

SF(上位10位、2019年1月現在):慎重さ、収集心、個別化、責任感、自我、指令性、目的志向、自己確信、信念、学習欲