【映画評】ゆったりとした展開と強いメッセージ〜コーヒーが冷めないうちに〜

最近、淡々とした日々を過ごしており、左脳といいますか、論理を扱うことが多かったので、そろそろ感情を揺さぶりたいな、と思っていました。

そこで、「4回泣けます」と書いてある、有村架純主演の「コーヒーが冷めないうちに」を見てきました。

原作は見ていませんので、先入観なく見れました。タイトルからはあまりワクワクしませんが、心揺さぶられる映画でした。

ストーリー展開

現代の映画には珍しく、ゆったりしたペースで流れます。私はどんどんと目まぐるしく展開し、伏線が多くある方が好きなので、好みの展開ではありませんでした。

他方で、ゆったりと展開され、主人公が時を遡らせる特殊能力を持っていることを除き、ストーリー展開はありきたりといえばありきたりなのですが、だからこそメッセージ性を強く打ち出す効果は絶大です。

4つのエピソードがありますが、どれも伝えたいメッセージは一貫しています。

メッセージ性の強さ

そのメッセージこそ、「過去には戻れない。今を生きろ。」です。

この映画はタイムループ系の作品です。有村架純演じる時田は、ある席でコーヒーを淹れると、淹れた者は、コーヒーを飲み干すまでの間、時を戻ったり、未来に行くことができます。コーヒーは冷めるまでという時間制限があります。

一番のキモは、タイムループ系ですが、「過去を変えることはできない」と堂々と宣言します。

(タイムループの際のルール)

大体、タイムループ系の作品は、戻って変えようとして変わらず、何度か挫折し、それでも取り組んで、過去が変わっていく展開が多いと思います。

最近でいうと、ドラマの「トドメのキス」のように、最後は過去を変えないことを主人公が選ぶ作品もありますが、過去が変わるものがほとんどです。

他方で、本作は起きたことが変わることはありません。でも未来は変えられる、とのことで、タイムループから戻ると、戻った人は未来に向かって今を生きるようになり、イキイキとした人生を過ごす方向に向かうのです。

かつて、皆でテレビを見たり、井戸端会議のように雑談することが多かったですが、SNSが発達し、スマホを国民の大半が持つようになった現代、対人での直接の対応がどんどん減ってきています。

そんな閉塞感漂う時代の中で、対人の人間関係をはっきり描き、ゆったりとしたストーリー展開であるため、ノスタルジックな気持ちにもさせてくれ、かつ「楽しく生きていきたいな」と希望が溢れる作品だと思いました。

ここから、4つのエピソードについても触れていきます。

波瑠と林遣都演じるカップルの物語

最初の物語なので、少しポップな展開で私は好きです。

過去に戻った後、結局過去は変わりないことを身を持って知り、だからこそ今を変えるしかないことに気づき、躊躇いながらも行動し始める様子が分かりやすく描かれています。

きっかけは確かに過去に戻った経験ではありますが、今を変えようと動き出したのは彼女自身です。

そうした、未来に向かう一歩を踏み出す描写が、「こうしたちょっとしたアクションが未来を変えていくんだ」という作者の強いメッセージ性を感じて、かつ、身近な例なので心に響きました。

松重豊と薬師丸ひろ子演じる夫妻の物語

他の方もレビューしていますが、これがやっぱり一番感動するストーリーです。

妻が認知症になり、夫でさえ忘れます。

夫は看護師なので、妻を介護対象として見て、世話をして3年が経過しました。

介護対象として見ているので、妻にショックを与えないよう、夫は自分が夫であることを名乗りません。

しかし、妻の想いは違いました。介護対象と夫はすることを予想し、そうして欲しくないと思っていたのです。

過去に戻ったときの、松重豊の涙と妻の内なる思いを知ったときの様子は誰もが感動するストーリーです。

そして、松重豊演じる夫がそこから態度を変えていくのですが、現状を受け入れ、前に進む成長を感じさせるシーンです。

いやぁ、改めて松重豊さんの演技力には脱帽でした。これだけでも見た甲斐があるかと思います。

吉田羊演じる姉と妹のストーリー

このストーリーで一番好きなシーンは、過去は変わりないことを知りながら、過去に戻った時に、変えようと姉が妹に伝えるシーンです。

やっぱり分かっててもやっちゃいますよね。それでも結局過去は変わりません。

妹の真の想いを知り、後悔と反省をしながらも、改めて、過去は変わらないことを確かめた姉。

過去は変わらないことを残酷に描きながらも、未来への希望に向けて変わろうとしている今を応援するメッセージをこのエピソードも強く伝えています。

有村架純演じる時田の物語

ちょっとこの物語が私には冗長に感じました。彼と出会い、付き合い、結婚し、と流れるのですが、そこにあまり苦難がないので、もう少し端折って欲しかったなぁ、と。

結局、過去に戻り、前を向いて生きる決意を固めるのですが、私には、うーんという感じではありました。

おわりに

本作はハートウォーミングな作品です。4回は泣いていませんが、少なくとも1回は涙が出るのではないでしょうか。

メッセージも分かりやすく伝えているので、希望が湧いてくる作品です。

公式サイトはこちら

この記事を書いた人

相羽涼太

相羽涼太

読書、手帳術、旅行記・訪問記・食レポ、ジム(運動、食事)、英語学習などを中心に記事を更新します。

インターネットの登場で、「考える」ことが減りがちな今こそ、自分なりの軸を持って、考え、発信していくことを大切にしたいと考えています。

SF(上位10位、2019年1月現在):慎重さ、収集心、個別化、責任感、自我、指令性、目的志向、自己確信、信念、学習欲

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