書評「死ぬこと以外かすり傷」(箕輪厚介著)

「古い世代には訳の分からない変化が今まさに起こり始めている。」

「おっさんの言うことはすべて聞かなくていい。その代わり、誰よりも動け。」

…と、頭から攻めた言葉からスタートする。

この「おっさん」とは、その後の文意から察すると、自己成長せず、古い価値観に凝り固まった人のことであり、年齢的な「おっさん」のことではないのであるが、そのような配慮的な注釈は設けない。

とにかく攻めること、とにかく動くことを信条とし、堀江氏らに付き従い、編集者として彼らの信条を徹底的に真似ることで、実際に成長した人間のこれまでの仕事における努力と仕事論を披露している。

本書でも改めて宣言しているが、堀江貴文氏の本の「多動力」は実質箕輪氏が書いていて、堀江さんはコメントだけしてできた本らしい。本書の中では、量をこなすことが大事ということも書いてある。

この編集者が著者とタッグを組んで作り出す本は、「熱量」を前面に出す本が多い。物質的に飽和になった現代において、「夢中になる」ことが重要であるのはまず間違いないので、本来その熱量を胸の奥に隠し、冷静に伝える本を、ある意味無駄に使い、重複は構わず、伝えたいことを熱を持って伝えるところに大きな特徴があるし、だからこそ現代でしっかり売れているということになるのであろう。

さて、ここから本書について紹介していく。

まず、

「上司に許可を求めながら歴史に名を残した人はいない」

という言葉が響いた。本書の著者は、活動としてはフリーランスのように見えるが、幻冬社の一社員としての肩書がありながら色々な活動をしている。

そんな会社員の一面も持つ著者だから発言に重みが出ていると思う。

「事前に相談していたらこんな意味不明なアイデアは却下されるかもしれない。予定調和を打破するためには黙ってやるしかない。」

昔からの習慣を守りたがるおっさんの言うことなんて、自分が「ナンセンス」と思えば相手が誰でも主張することが大切であると説く。

これは共感できる。よく言えば保守的なのかもしれないが、保守的では情報革命が起きた現代においては、スピードに乗り遅れると思う。

黙ってやるし、仕事も持ってくる。やった後で、辻褄を意地でも合わせる。という考えは興味深いな、と思った。

中国は、以前は不潔なところとして有名であったが、今は国家主導で、都心部についてはキレイになっているらしい。また、全て自動で人間不在のコンビニを生み出そうとしており、パクリを批評されることもあるが、構わずドンドン前に進めようとしている。

こうしたことが、将来を考えるにあたっては重要だと感じた。

次に、現代の分析についてである。

「物が溢れる時代。もはや物を選ぶこと自体に疲れる。自分が信頼する人のおススメを選ぶようになるのは時代の必然だ。」

高度経済成長期を終え、いわゆる生活必需品に留まらず、冷蔵庫などの家具も、買えないという貧困層はかなり減り、豊かな時代になった。

そこにインターネットが登場し、Amazonなどのネットから物を買えるサービスも始まってくると、もう何を買えばいいのかが訳が分からなくなってくる。

だからこそ、今は、物を選ぶ基準は、「物語」となっているので、物を売る際には、人間性も丸出しにして、メッセージを伝える必要がある。

著者はここから、自分がインフルエンサーになればいいのでは、という発想に至るが、まず物語が大切になってくる時代となったことを分かっているか否かが大切であることを知った。

なお、インフルエンサーになるといっても、まずは頭一つ突き出ないとなれないことは本書でも散々言われており、そこを勘違いされる人も多いらしいので付言しておく。

だからこそ、インフルエンサーになるにはハードルがあるが、そうした仕組みを知ることで自分がどう動くかを考えるヒントになるな、と思った。

3点目は、先の記載と重なるが、「多動力の本質は、あれこれ手を出すことではない。まず何か一つで突き抜けるということだ。」という点である。

まずは、深掘りをし続け、何のジャンルでもよいからトップになる。そこから横に展開していくことが大切である。

箕輪氏としては、「編集とネットを組み合わせること」が得意で自負もしているが、そうした点はあるのかな、と自制した。

要すれば私はまだ深みに入り込めていないということである。自身にこの記載を改めて送りたいと思った。

「周りが引くくらい没入して、夢中になって、一点突破で突き抜けろ。」

最後に、自己成長に関してである。一日は24時間でそれは平等であるから、単純に時間で考えると、人によってここまで差が出ているのは素直に考えるとおかしい、ということになる。

ではどこで差がつくか。

「昨日までできなかったことをできるようにすることを日々積み重ねること」

であるという。

「昨日までできなかったことをできるようにする」ことを毎日しっかり意識して生きているか、と問われるとやや疑問に残ることがあるな、と自省した。

ちゃんと毎日少しでも日記をかいて、小さいところから毎日の進化を考えていこう、と決意した。

また、

「普遍的なことというのは現場で死に物狂いで試行錯誤していれば自然と身についている。学ぶものではない。」

ともあり、現場で試行錯誤することが何より重要との言葉も頂いた。

本書は、堀江貴文氏によれば、「多動力」に書かれていることを徹底的に実践した結果、とのことらしい。しかし、ともすれば、一冊の本の内容を徹底的に実践することだけで、大きく変わることができるんだな、と実感した。

堀江氏としては、箕輪氏のような人物の登場を心待ちにしていたのかもしれない。

「意識的に、自分の心がワクワクするかを行動基準にしている。」

「努力は夢中に勝てない」

著者の情熱を余すことなく読者に伝える、文章であるのに、ライブを観ているかのような生々しさを感じさせる本であった。

この記事を書いた人

相羽涼太

相羽涼太

読書、手帳術、旅行記・訪問記・食レポ、ジム(運動、食事)、英語学習などを中心に記事を更新します。

インターネットの登場で、「考える」ことが減りがちな今こそ、自分なりの軸を持って、考え、発信していくことを大切にしたいと考えています。

SF(上位10位、2019年1月現在):慎重さ、収集心、個別化、責任感、自我、指令性、目的志向、自己確信、信念、学習欲

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