2018年8月の山口拓朗氏の講演会に行き、語彙の豊富さとアウトプットの重要性について学んだ際に、「アイデアを出す」ときに紹介されているため読んでみました。
Amazonで、特段ページ数とか見ずに即購入したため、送られてきてびっくりしました?「こんなに薄い本なの?」と。
なんと、100ページ程度しかないのです。さらに、そのうち解説者が30ページ程度語っているため、実質内容は60ページくらいしかないのです。
「おいおい、勘弁してくれよ。。こんなに薄いのかー、なら内容どうなのかなぁ」などと思っていたのですが、内容を読んでこの些細な不満は満足感に早変わりしました。
なおかつ、読後感がかなりいいです。映画を見終わった後に、映像が思い出されたり、「すげー」以外の感想が出てこなくなったりする、あんな感覚を私は味わいました。
何となくで理解しているアイデアの出し方と、その大変な部分とを見事に文字で表現しています。人間の思考を文章化していて、その分析に脱帽です。
さて、前置きはこのくらいにしまして、内容に入っていきます。
この本は、タイトル通り「アイデアのつくり方」としまして、2つの原則と5の過程に分かれる手順が紹介されています。
まず、原則は、
①アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない。
②既存の要素を新しい一つの組み合わせに導く才能は、事物の関連性をみつけ出す才能に依存することが大きい。
の2点です。結局言っていることは1点にまとめられる気がかなりしますが、2点で主張されています。
アイデアとは全く新しいものを生み出すものではないし、関連性を見つけ出すことが大切である、というのは、これは生まれもった才能ではなく、後天的に体得可能であることを意味します。
○アイデアマンは後天でもなることができる。
○情報は一人ではいられない。
こうしたことが本当であることを知ることが出来ると、「自分も出来るぞ」と希望が生まれますし、その後のやり方でトレーニング方法も書かれています。
次に、方法は、
①資料集めー当面の課題のための特殊資料(製品と消費者に関する知識)と、一般資料(人生とこの世の種々様々な出来事についての一般的知識)についてー
②資料を咀嚼するー断片的なアイデアを記載していく。心の中がごっちゃになるまでパーツを集め続けるー
③想像力や感情を刺激するような、他のことをやりながら無意識の関連づけを待つ
④アイデアの種の誕生
⑤現実の有用性に合致させるために、具体化し、展開する。
とのことであります。
①の資料集めについては、一般教養の大切さについて触れられているのが印象的です。
当然、問題解決に必要な情報は集めるとは思うが、これに加えて、一般教養の知見も大切だそうです。
書籍の中では社会学の2冊が取り上げられていた。
①孤独な群衆
②有閑階級の理論
この過程も泥臭い過程です。思いつく過程は、ほとんどが苦しいと思うこともあろう作業であり、大変であることを示していることが本書の正直であり、リアリティを実感できる部分であります。
また、集めるに際して、スクラップブックやファイル管理を言われていた。自分が整理が下手なので、しっかり適切に管理しないとな、と実感しました。読み替えて、ノートを一元管理していこうと思います。
⑤については、アイデアマンでも、この段階で苦から逃げると実現に漕ぎ着けないという。確かに突然思いついても実現可能性を考えると厳しいことがよくあります。
しかし、ここで、建設的な関係の方から批判を受けつつ、形にすることが大切です。このタイミングまでいったら、「意地でも実現させる」ことも大切になってくることもある訳です。
無意識を稼働させるために、出来るだけ意識の部分で活動し、指示を与えること、それが大切なんだ、と理解しました。
特に、「無意識」というと、放っておけばなんか思いつく、とかいいますが、そこまでには意識レベルで相当色々と考えないと出てこない。こうしたことをしっかり記載してくれました。
薄いこともありますし、一読をお勧めできる本かな、と思いました。