先日、書籍化しているMBA留学記を読んだ。
このような私記が書籍化されているということに興味を抱いて手にとった。読みながら色々な感情が渦巻いた本だったので、感じたことを述べていきたい。
モデルケース
この本では、これ以上ないであろうエリートが考えていることが書いた本である。
灘高から東大、コンサル会社等を経由してハーバードのMBAへということで、経歴を見れば、どれだけ過小評価をしても、「トップクラスのエリート」であることには変わりないといえよう。
まさにエリート街道である。
職歴含め色々バックグラウンドが違うので、書いてあることはあまり興味のないことも多かった。ただ、本当に多岐にわたる事柄が書かれていたので、面白かった。
嫉妬に狂った昔
この本を読んで思い出したのは、過去のトラウマに似た想いであった。
正直、学生時代までであれば、この本は最後まで目が通せなかったと思う。実際、過去の私の価値観は、「頭いい奴」つまり、学生時代でいえばテストで点が取れる奴が凄いみたいな価値観で育っていた。
だからこそ、自分の能力の低さに絶望したことが多くあった。
そう昔の自分と比べてみると、今は多少客観的に捉えることができるようになってきた気がしている。
昔の自分は、そんな(自分の中の)エリートな彼らにも悩みはあるはずなのに、「悩みなんて思ったこともないんだろう」と思ってしまっていたのだ。
不思議なものだなあ、としみじみと思った。
価値観の変わり目
昔の価値観でいえば、私は多くの人がそう思っていたように、大企業に行くことがゴールのように思っていた。
しかし、冷静に考えれば、縦並びの中、出世競争を繰り返すというのは幸せかと思うようになっていた。
実際、今は価値観の過渡期にあると思う。そして、常識を鵜呑みにせず、自分が信じることを信じることが今後大事になってくることを本を読みながら感じていた。
勝ちの目
この本を読んで感じたことは、一般論的なことが多い。
思ったのは、「将棋の天才は、実際の板状で将棋のパフォーマンスを発揮できるのか?」という点であった。
私は、残念ながら将棋の天才ではない。将棋の天才とはあくまで比喩だが、俯瞰的に現状を見て、判断する能力には長けていない。
よく頭のいい人がやる、「1のニュースを網羅性を持って10として解釈する」ような達人技はできない。
では何が武器か。突破力と情熱である。
この点、この本の最初の方に出てくる。海外の人が信念を持っているように感じ、自分自身はそこに揺らぎがあった、という旨の記載があるのだ。
勝負をするのには、そこがヒントになると思った。
自分の得意なカードがある。それを集団に合わせて使いこなすのだ。柔軟性を持たせる必要がある。複数のパターンを持って、柔軟に出すのだ。
時に、突破力を前面に出し、時に情報の補佐力を出し、その柔軟性に光を見た。そして、そのヒントとなるのが広い知見であると直感的に感じる。