【書評】「女帝 小池百合子」(石井妙子著、文藝春秋)〜日本の有力政治家の価値観に触れること〜

本作は、現東京都知事をされている小池百合子氏について、氏本人が書いた本及び周りへの徹底的なヒアリングで、3年半の準備を経て発刊された作品です。

400ページを超える大作ではありましたが、話題になっていたので読みました。小池氏が現在の地位にまで上り詰めていることも含めて考え直すと、色々考えさせられる作品です。

成り上がりと復讐心

本作では、最初から最後まで、小池さんの価値観形成過程における父親の影響の大きさを感じます。

記載ぶりを読む限り、父親は見栄を張り、虚言癖があり、疎まれる存在に見えます。なんとかして地位・権力を得たいという強い上昇志向がありつつも、上手くいっていない様子が描かれています。

その過程で、父親及び同席している自分が疎まれていたことと、父親の上昇志向を学び、小池氏の価値観も形成されていきます。

小池氏が東京都知事になった経緯は良く分かりませんでしたが、石原元知事と父親との関係、舛添元知事と本人とのかつての関係を踏まえると、「復讐」という捉え方で考えると軸が通っているように感じてしまいました。

誰も小池氏の発言をずっと追いかけている訳ではないので成立してしまっているものの、本書を読む限り、小池氏は嘘を頻繁についているように思われます。人もよく利用し、裏切っています。

それでもここまで成り上がっているのです。「人生を楽しんでいたのか」と疑問を持つほどに、執念の凄まじさを感じます。

人を利用し、利用される

本書を読むと、政治家という職業の一面を垣間見ることができます。

政治の世界は、よく人のことを批判するし、よく裏切りも発生します。そして、小池氏の場合、人を変えては利用し続けていることが描写されています。

普通の神経だとキツいと思われるのですが、自分の損得が判断基準であるからこそ生きてこられているように感じます。

政治を見るということ

本作を読んでいると、マスコミの目からしか政治を見ていなかったことを思い知らされます。

2000年代以降を取り上げても、小泉劇場、小泉チルドレン、小沢ガールズなどがありましたが、その真の意味合いが本書で語られています。

また、最近の話題でいえば、豊洲移転問題やオリンピックの施工費の問題は、「あれは何だったんだろう」と思っていたのですが、こうした問題がうやむやになる構造も描写されています。

政治家はマスコミを利用しようとし、マスコミも政治家を利用しようとします。その泥々感がありありと描写されているのです。

小池氏自身も、大半はマスコミを利用してきていると思われますが、希望の党のときの「排除します」発言のときはマスコミに利用されました。

TVに写り、コメンテーターに擦られ拡散していくのだ。怖い世界だと思う一方、それが今の日本です。

原則に立ち返る

この本を見て感じたことが多くありましたが、一番は「真実は自分で見つけようとしない限り見つからない」ということです。

この本を見ると、日本の政治の現状に嫌気すら刺す方も多いと感じます。しかし、これはもはや構造上の問題であり、そうは簡単に変わらないものです。

それと同時に、自分の影響力の及ぶ範囲で尽力することの大切さを教えてくれた、「7つの習慣」の原則の話をふと思い返します。自分の影響力が及ばないところであるが関心のあるところに目を向けると疲れてしまうよ、という書のある教訓の1つはこの本の読後に感じたことと重なりました。

書評関連記事は他にもたくさん!もう1記事いかがですか?

↓こちらです↓

この記事を書いた人

相羽涼太

相羽涼太

読書、手帳術、旅行記・訪問記・食レポ、ジム(運動、食事)、英語学習などを中心に記事を更新します。

インターネットの登場で、「考える」ことが減りがちな今こそ、自分なりの軸を持って、考え、発信していくことを大切にしたいと考えています。

SF(上位10位、2019年1月現在):慎重さ、収集心、個別化、責任感、自我、指令性、目的志向、自己確信、信念、学習欲