映画「記憶にございません!」〜ストーリーの明快さから感じるメッセージ〜

三谷幸喜監督の「記憶にございません!」を映画館に見に行きました。

ストーリーとしては、金・権力に目のない嫌われ者の総理大臣が、投石事件で政治家時代から記憶無くしたことをキッカケにして、嫌われて失っていた信頼を取り戻していくというものです。

ストーリーラインが分かりやすいので、言いたいことも分かりやすい作品です。メッセージ性を感じる作品だったので、印象に残った部分について所感とともに記事化しました。

正直であること

本作は、政治コメディですが、今の時代背景のもとで、「正直であること」の大切さを訴えているように感じます。

直接会うか電話するというコミュニケーションから、メールのコミュニケーションが登場し、さらにSNSが登場した現在、あらゆる物事は「ガラス張り」になりました。

そのため、有名人のニュースが典型的ですが、一般人がカメラでこっそり有名人の不倫写真を送り、週刊誌が大きく報じることで、有名人が多くのカメラの前で謝罪する時代になりました。

しかも、その会見も、曖昧な発言はせず、「ありのままに」伝えないと、更に状況が悪化する仕組みになっています。良くても悪くても結果は拡散される仕組みになっています。

インターネット上で大量の情報が扱えるようになるまでは、嘘をついてもある程度は誤魔化せましたが、今は「暴く」ことが容易になったので、そういうことをするメリットがなくなってきています。

本作では、総理大臣である主人公は、記憶があった時代にした過ちを即断で会見で謝ります。

かつての総理がした女性蔑視の発言なども、過去の発言の過ちを訂正しつつ、認識をありのままに伝え、「間違っていた」ことを正直に伝えました。

実際、「記憶を失った」というフックこそあれ、実行するのは簡単なようでいて難しいことです。

しかし、主人公はあっさりやり遂げます。本作で描かれているのは、周りの反応がどうとかではなく、自分に嘘を付かないことを決めた主人公の様子が描かれます。

「良い格好をしたい」というプライドや意地を捨てたのです。

人を信じ、頼ること

本作では、「信じること、頼ること」の大切さも分かりやすく描かれています。

総理大臣の主人公は、政治家時代の記憶を失ったため、基礎知識をなくしたことも相まって、「自分1人では何もできない」ことを自覚します。

対照的に、かつての記憶があった時代は、「自分の力があれば、何でも出来る」と主人公は思っていたように描かれています。

だからこそ、主人公は、側近や周りの人間を頼るようになります。

たとえ、周りから裏切られたと感じられる行為をされても、まず自分から信頼することで、相手から信頼され、周りの力を生かすことができるようになっていきます。

有言実行、約束を守る

主人公が、「有言実行」の体現するシーンも印象的です。

それは、病院から逃げ出したときに少しだけ話し、その時口約束していたのですが、田中圭が演じる警官(少佐)を、総理の周辺警護官に任命するシーンがあります。

このシーンでは、総理のような任命権がある人から取れば、警護官に任命するようなことは、「実行する気があれば」できるものとして描かれています。

とはいえ、「できること」でも「実際やる」のは面倒に感じてしまうものです。実際、口約束は守られないことはよくあります。

しかし、主人公は有言実行します。そういう小さいことを守っていくことで、実行力がついて来るし、信頼関係構築力も大きくなります。

正々堂々戦う

相手が黒い人間だとしても、「正々堂々とした」態度で接することが大切だ、というメッセージも感じました。

主人公は、周りを取り巻く良くない環境を変えるため、悪役の官房長官と「戦います」宣言をします。

宣言なんてせず、落とし合いをすることはしばしば映画・ドラマなどでも描かれますが、本作では、主人公サイドは「堂々と」戦うスタンスを貫きます。

「宣言」をすることは、自分から撤退する退路を自分で切ることになります。本作は、政治の話であることもあり、「言葉の力」を感じさせます。

世の中はすぐには変わらない

私が「いいな」と思ったのは、元々金・地位に囚われていた人が変わったとしても、

実際の行動として、

記者に優しく接したり、

国会で愛を訴えたり、

妻・子との絆を取り戻しても、

ニュースでは、相変わらず「どうなんでしょうね」というトーンで報道するし、支持率も、2%程度の微増であったというところです。

ここは現実に近い形なので、臨場感を感じます。

たとえ自分が変わっても、周りがすぐ変わる訳ではありません。しかし、自分が変わらないと、周りが変わることもないのです。

実は記憶はあるときから戻っていた

作品の中でお洒落な演出だったのが、「記憶は実は途中から戻っていた」という点です。

それをしれっと側近に告白するシーンは、三谷幸喜監督の茶目っ気が表れているシーンでもあります。

ここで主人公は、「元に戻ることもできたが、戻らなかった」という趣旨の発言をします。

自分で「変わる」ということを決意し、やり遂げていくのです。周りは信頼しながらも、あくまで自分を決めるのは自分なのだ、という強い意思を感じる、良いシーンでした。

ストーリーが分かりやすい

映画などの関わりとして、個人的には、「デスノート」とか、「シン・ゴジラ」や東野圭吾さんのミステリ作品のような伏線を巡らせた複雑な作品の方が好きです。

また、「自分では経験できないであろうこと」を擬似体験する効果も大きいので、いわゆる感動作と呼ばれるような、「感情を揺さ振られる」作品も好きです。

本作はどちらでもありませんが、メッセージ性がありますし、ここまであらすじが「誰にでも分かる」というのはかえって斬新でした。

分かりにくくなる傾向のある政治を舞台にしたドラマを分かりやすく、コメディ要素も多少織り交ぜながら飽きさせない作品です。

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この記事を書いた人

相羽涼太

相羽涼太

読書、手帳術、旅行記・訪問記・食レポ、ジム(運動、食事)、英語学習などを中心に記事を更新します。

インターネットの登場で、「考える」ことが減りがちな今こそ、自分なりの軸を持って、考え、発信していくことを大切にしたいと考えています。

SF(上位10位、2019年1月現在):慎重さ、収集心、個別化、責任感、自我、指令性、目的志向、自己確信、信念、学習欲