M 愛すべき人がいて(小松成美著)【書評】〜「浜崎あゆみ」を描いたストーリーから感じるコト〜

「浜崎あゆみ」の告白本として取り上げられている本を手に取り読みました。

非常に考えさせられる本で、読みながら色々と思考が頭を巡るような本でした。

本記事では、この本を読んで感じたことを述べていきます。

何故手に取ったか?

「浜崎あゆみ」という歌手が、あらゆるメディアに出演し、知名度もかなり高い時代がありました。

私自身は、「浜崎あゆみ」の曲に対して肯定も否定もない立場なのですが、「一世を風靡」という表現でも誤りではないくらい、全国区で知れ渡っていた時代があったのは確かです。

もちろん、著名な女性シンガーは複数いますが、「青春時代に浜崎あゆみに熱狂した」という方が相当数いるのは事実です。

ファンを熱狂させた根源はどこにあったか、に関心があり、話題の書を読むことにしました。

情熱があるから感情を揺さぶる

歌手「浜崎あゆみ」の曲は、作詞は歌手本人がしているところに特徴があります。

そして、その曲の歌詞のうち、少なくない曲が、松浦勝人氏(エイベックス株式会社代表取締役会長CEO)への想いの丈を綴ったものなのです。

文章がうまく抽象化されているとは思いますが、そのベースは、「浜崎あゆみ」自身が感じた想いにあるのです。想いベースに歌詞にしているので、情熱が宿ります。

こういう、「1人の人間への愛を歌った歌が多くの人の心を打つ」という事実は、勇気を与えてくれます。自分の想いを歌った歌が、共感・感動を産むのです。

また、当時の映像を見ると、歌っている姿に、「情熱」を感じます。本人からすれば、松浦氏への個人的なメッセージを昇華させつつ想いを歌っているのですが、それが、2人と関係のない人にも響くのです。

「浜崎あゆみ」という歌手は、歌のうまさで唸らせることを主眼には置いていないように見えます。だからこそ、情熱で勝負し、想いを伝えていたのです。

軸を複数持つ

この本を読むと、「軸を複数持つ」ことの大切さを感じます。

依存状態と思える内容

本を読むと、デビューへの導きから、スターダムにのし上がっていくまで、松浦勝人氏が、「浜崎あゆみ」という歌手を引き上げている感があります。

松浦氏が命令口調で、ぶっきらぼうであり、それに素直に従っていたとの記載もあり、本を読むと依存ということなのかな、私は思いました。

しかし、それは実際仕方ないとは思います。本の内容に基づくと、何もない状態から、色々松浦氏に教わって、「浜崎あゆみ」が出来てきたという経緯もあると思う部分はあります。

持続的な観点から考えた場合の、「複数軸」

この本を読むと、「これを告白することで、浜崎あゆみ自身の気持ちが整理できたのかな」と思います。実際、本の内容は、これまで本人としては言いたかったけれど、言えなくて心でずっとモヤモヤしていたことが示されている内容だと思います。

しかし、本を読むと、持続的観点から考えると、複数のものに依存することの大切さを感じます。

「〇〇依存症」という言葉がよく用いられますが、人は、強弱はあれ、何らかに依存しないと生きていけません。しかし、それはバランスが大事で、「1つの軸」だと、それが無くなったときの喪失感があまりに大きくなり過ぎるのです。

本書の記載でも、「すれ違い」が生じてきて、自然消滅するところは、松浦氏が仕事に邁進する一方、「浜崎あゆみ」側は振り切れていないように感じます。

それは、松浦氏は、会社運営という立場もあり、1人の歌手のプロデュースするだけではなかったことに対し、「浜崎あゆみ」は、松浦氏への想いを歌い続けていて、プライベートも、仕事も、すべてが1つに繋がっていたことが大きいように感じます。

労働の考え方でも、近年になって、「持続可能性」を考えて仕事をする方向性にシフトする動きが出てきており、「継続」の観点も大切だな、と感じます。

愛と厳しさ

この本を読んで、人が成長するには、「愛」と「厳しさ」の両方が必要なんだな、と感じました。

厳しさの前に、この「愛」が前提となります。

基本的なパターンとしては、母親的な立場の人から、「無条件の愛」を受けることから始まり、その経験を基に、自分が自分を愛することができるようになり、愛を他者にあげることができるようになります。

浜崎あゆみは、母親・祖母から「無条件の愛」を受けていたように感じます。そして、東京に出た後は、プライベートな部分での松浦氏が母親的役割を担っていたように感じます。

厳しさ

「浜崎あゆみ」には物心ついたときから父がいないようで、父性という意味での「厳しさ」を知らずに成長した感じを受けます。

その部分が、仕事のパートナーとしての松浦氏が担っていたように感じます。

「愛」と「厳しさ」という2つの概念

浜崎あゆみの場合、この愛も厳しさも同一人物が担っていましたが、2つの概念は、別の概念であり、1人で担うことは難しいな、と感じます。

「厳しさ」で、色々と耳の痛いことを指摘されることは精神的にキツイことでもあります。その役割と、愛との両立はなかなか難しいな、ということをストーリーを読んでいて感じました。

「フィクション」の強調の謎

ただし、本を読んで1点だけ気になった点があります。

そこは巻末の「浜崎あゆみ」本人のコメントのところで、事実に基づくフィクションであることを述べるところで、「真実は2人しか知らない」と読者を離そうとするところです。

「事実に基づくフィクション」は別に書いてもいいと思いますが、著者は別の方でもあるので、読者の想像に任せることは特段強調しなくてもいいのでは、と少し違和感を感じました。

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この記事を書いた人

相羽涼太

相羽涼太

読書、手帳術、旅行記・訪問記・食レポ、ジム(運動、食事)、英語学習などを中心に記事を更新します。

インターネットの登場で、「考える」ことが減りがちな今こそ、自分なりの軸を持って、考え、発信していくことを大切にしたいと考えています。

SF(上位10位、2019年1月現在):慎重さ、収集心、個別化、責任感、自我、指令性、目的志向、自己確信、信念、学習欲