「アウトプットとは何か?」この疑問に対して、定義から類型から具体的内容からそれぞれの行動の意義までここまで網羅的に回答した本は、これまでないのではないだろうか。
現在、東洋経済でも取り上げられるほどの人気ブリ!
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特典動画でこの本は初心者にも取り組みやすく、もちろん上級者にもアウトリーチできる本だ、という言及がありましたが、まさにそういう本である。
コンテンツはたくさんあり、消化しきるのはなかなか難しいし、何回も読める。しかし、見開き2〜4ページの構成なので、パラパラ読みにも向いている。
さて、少しずつ内容に入っていきたいが、私はタイトルにもあるアウトプットという単語自体にあまりよく思っておらず、少しカッコつけた言葉で、ハードルを高くしているのではないか、という疑問を頂いていた。
しかし、この本では、序章で、「アウトプットは、話す・書く・行動するの3つで構成されている」と明確に宣言している。特に行動する、というのがよい。ノンバーバルコミュニケーションや笑顔、決断すること、はたまた寝ることまでが行動するに含まれている。行動するを含めると大分ハードルが下がるのではないだろうか。
また、話すところも、友人・家族と話すところから始まっている。アウトプットのハードルを下げてくれて、やってみよう、と自然に思うところから引き込まれた。
そして、ここから内容について触れていきたい。以下、序章及び各アウトプット項目から1つずつ取り上げ、計4点に絞って言及していく。
フィードバックについて
まず、著者の主張をある程度知っている者であれば認識しているいつもの螺旋階段の法則があるが、フィードバックの重要性について、第1章に丁寧に記載してあり、自分の反省となった。
「アウトプットした後、次のインプットの前に必ず必要なプロセスがフィードバック」「フィードバックはすべての行動に関して、毎日行うべき」というところにズキッと刺されたような痛みを感じた。
というのも、私はアウトプットは意識しようと思っていたものの、フィードバックへの意識が不足していたのである。例えば、日記を書き、良かった点を3点以上書くようにしているが、その日記を見返し、思い出す作業をしているか、といわれると否であるし、また、月間レビューはしていたものの、週間レビューはしていなかったのである。その点も反省した。
まずは、人間はすぐ忘れるので、思い出ったときはすぐに日記をつける習慣を確立すること、週間レビューとして、1週間の評価を始めていく。ちなみに先週試行的に始めてみたが、順調に進捗が見られる部分と、費やす時間が不足している部分がはっきり分かってよかった。
なお、月間レビューも雑だと思ったので、そこはアマゾンでポチった「クラウド版 デッドライン仕事術」も参考にしつつ、改善に取り組もうと思う。
そして。本の中では、効果的なFBの方法として⑴短所克服と長所伸展⑵広げると深める⑶「なぜ?」を解決する⑷人に教えてもらうが取り上げられていた。
特に、⑶の中で、「なぜは放置してはいけない、突き詰めるとその先に気づきがある」というところと、⑷の中で、人からアドバイスを貰う重要性を述べつつ、「なんでもかんでも質問すればいいものではない。自分なりに疑問、問題点に対する探求を進めておく」としっかり注意がされていた。
これらは要すれば、自分で考えろ、ということである。ようやく今年になって日記を書き始めて自分で考えるの重要性が薄々分かってきたところに、しっかり言葉でのフォローがされた気持ちになった。
自分がやることは上述した通りだが、自己分析を書きながら進めていこうと改めて思わせてくれた文だった。
質問すること
これまで、質問することは重要であると思っていたのですが、質問されることは煩わしく、「面倒くさいなぁ」と思うこともしばしばあった。
しかし、どうも本書によれば「質問されると人は嬉しい」らしい。質問は人を喜ばせるものらしい。確かによい質問があると、議論が活発化し、深まるのは分かるが、質問された側は嬉しいのかな、と疑問が残っていた。
質問はコミュニケーションの潤滑剤であり、適切な質問により、お互いの理解が深まり、人間関係が深まるそうである。
このように本文をよく読んでいくと、「適切な質問」という言葉が要所要所に出ている。ここでようやく自分の中で腑に落ちたし、納得が言った。
私が質問された時、面倒くさいなぁ、と感じてしまうのは、自分にとって相手が適切な質問をしてない、と自分が思っているからであるのだ。確かに思い返すと、適切な質問をされた時は、確かに「この点が抜けていたな」とか、回答していて新しい気づきが得られた、と思うことがある。
そして、適切な質問をされると議論が深まる上に、人間関係が深まる、というのはあまり意識したことがない視点であった。
思い返すと確かに、人間関係が深まるというか、お互いが高めあう関係にあるな、と少なくとも自分は感じる。人間関係が深まるというと、仲良くなるイメージをしてしまうが、戦友というか、力強さを感じる。ただ、これまで全く意識していなかった観点であった。
周りの環境が大切である、という言葉をよく聞いてきたが、確かに「適切な質問」を軸の中央に置いて考えると、環境が大切、という主張の理解も深まった。
本書には、「適切な質問」をするコツも記載されている。質問の大切さの理解が深まったので、「いつ指されても3つ質問できるように準備する」ところから用意周到さを上げていく。
なお、よく本文を見ると、サブタイトルに「適切な質問」とは書いてあった。しかし、本文では青でのマーカーはされてない。この頁(p62-63)の要点は適切な質問だから、そちらを青マーカー入れる方がいいのではないか、と思った。
書き出すこと、構想をまとめること
書き出す(p120〜121)の項に、映画評論の例で述べられているのだが、「脳の中味を全て書き出すことが不可欠」「2、3日経つと細かい部分があいまいになり、鋭い映画評論を書くことが不可能」とある。
これは、既に実体験として何度も経験している。例えば、打ち合わせをした後、私が議事録を書かないといけない場合、終了後すぐに頭の整理として書き出しとか復習をしていたら時間かからず議事録は完成するが、その後バタバタしていたりして後回しにすると、細部は覚えてない上に、やるハードルがはるかに上がるのである。
確か今年5月くらいの目標に議事録とか文書作成は言われた瞬間にすぐやる、というものを書いていたが、すぐが曖昧で上手く評価できず目標から自然消滅した経験がある。やはりその日のうちにやるのはマストで、新たに、「終了後カフェに飛び込み、30分ほどで整理」という具体的示唆も貰った。
「終了後40分でどこかに篭り、すぐに議事録作成や文書作成をすること。そしてその日のうちにアウトプットまで漕ぎ着けること。」という目標にして、それをto doリストにすれば習慣化できるかな、という仮説が出来たのでやってみようと思う。
なお、「記録については一生モノで、それを見返すだけで体験を思い出せる」という記載もかなり興味深かった。正直ノートはまだ上手く活用できてない、さらに上手く見返したことがほとんどない自覚がかなりあるので、まずはこの言葉を受け止めたい。
また、類似のポイントを言及したものとして、構想をまとめる項で「抽象化のアナログ、具体化のデジタル」という記載があった。ここもなるほど!と膝を打った。ただノートの使い方も確立しておらず、パソコンもまだまだ初心者なので、これからこの言葉を大原則として、ツールを使いこなしていくぞ、と決意した。
教えることについて
教えるという行動としてのアウトプットは重要である、と色々な本や人が言ってるが、あまり納得できず、むしろ教えることで周りに追いつかれてしまうのでは、という不安感がありました。
その不安に寄り添うかのように、「優位性が失われるという理由で消極的な人もいるがむしろ逆」「人に教えることで、さらにその分野について自分が詳しくなり成長するので、人に教えるほど自分の優位性が高まる」と記載があった。さらに、自己成長は教える場数に比例するとも記載があった。
これらの言葉は、私の背中を強く押してくれる言葉だと思う。不勉強だからこそ、積極的に講師を引き受ける。そのマインドを得ていくべく、ただ、これは教える機会に恵まれるか、という観点もあるので、まずは自分のアウトプット力をつけるところからだな、と認識した。
なお、本書中では、テンプレの必要性について、自己紹介のところと感想のところで話があった。そちらについては、セミナーを受けた時に印象に残ったところであったので、そちらの気づきをまとめた記事に譲る。
また、大きな気づきには掲載しなかったものの、ヒアリ・ハット事例を減らす話にある、1-29-300の法則も、大変興味深いし、大事故が起きないために、ヒアリ・ハットにしっかり対応する重要性を学んだ。
ちなみに、
・p248の下から4行目のところの「それを日本で初めていった」の「いった」は表現を固くした方がいいのではないか。
という細かいコメントと、
・p255の「炎上したことはたった一度しかありません。」と言われると、どんなことが炎上したのだろう、と非常に気になるので知りたい。
という細かい質問が生じたので最後に補足的に記載しておく。本書は誤字等は見られなかったように感じるが、1点目は重版の時にでも文語体への修正がされると嬉しい。