ザ・ファブル【映画評】〜シリアスとコミカルが融合した物語〜

岡田准一主演の、「ザ・ファブル」という映画作品を劇場で観ました。

人生初めて、「先行上映」という形で映画を観ました。

コミカルなシーンもありますし、アクションは心踊りますが、心温まりつつ、考えさせられもする物語でした。

ストーリーをしっかり読み込んでみると興味深い映画でした。

なお、原作は全く読んでない状態で映画を観ておりますので記載しておきます。

では、詳しく見ていきましょう!!

ファブルが「母性」を知り、成長する物語

主人公のファブル(岡田准一演)は天才的な殺しのセンスがあるという設定で、彼は幼少期から「ボス(佐藤浩市演)」に育てられ、天才的センスを発現させました。

そのため、彼には強い父性を受けて育ちました。

他方で、彼は、親の描写もなく、「母性」を受けずに育ったように見受けられます。実際に、殺し屋のファブルは、感情面に対する配慮などはできません。

そのため、「父性」で育った最強の戦力が、「母性」も与えられ、人間として成長していく物語に感じました。

作中では、「母性」をファブルに与える役割をヒロインのミサキ(山本美月演)が担います。

「普通」ではありえないことをファブルがしたとき、他の人は引いていたり、バカにして笑っていたりします。しかし、彼女は、驚いたりはするものの、終始優しくにこやかに見守っています。

別に主人公・ヒロインの2人は恋仲になる訳ではありません。しかし、ヒロインが主人公を見る目に、愛を感じます。

これこそがある種の母性であり、母性と父性が揃ったとき、しっかりした人間へと成長していくメッセージにも感じました。

裏の世界は、更に義理堅い

いわゆる「裏」の世界では、裏切りが日常茶飯事です。そうであるからこそ、一般の人より、「信頼」が重要視されています。

主人公のファブルが印象的ですが、必ず有言実行で、約束をすれば確実に守ります。彼自身、作品の中で、複数の依頼を受けたりしましたが、結局、全ての約束を守りました。

一番良いのは、敵との対決が終わった後、「いくらこれまで信頼を置いていても、約束を破ったらしっかりケジメをつける」シーンです。

ずっと可愛がっていた人がいたら、普通は、情にやられそうだが、約束を破ったら、それなりの仕打ちをしっかりします。

それは非常にシビアで、映画のシーンの中で最も印象的です。

「約束を守る。」

言うのは簡単ですが、それを実行するのは簡単ではありません。

「信頼関係は構築に努力せず、怠っていると失われる。」

という強いメッセージ性を感じる作品です。

心の通わせ方がリアル

本作の主役ファブルは、作品の中で成長はしますが、私生活の面ではそこまで成長しておらず、実にリアルな映画であると感じました。

例えば、ファブルは基本的に無感情ですが、本作を通じて、人間の感情を学びます。しかし、彼自身が無感情であるところは一切変わりません。

こういうアクション映画とかだと、急成長を遂げすぎることがあるので、そのリアルさが良かったです。

本作で描かれているのは、殺しをしない救出ミッションですが、「まあ主人公らが勝つだろうな」という試合をし、順当に勝ちます。

ただし、今まで皆殺しレベルで殺していたファブルが殺すことは辞めた戦い方をして、その勝ち方のレベルが上がっています。

ダメージを負わないファブルが、ダメージを追いつつも戦う様子は、「成長」を感じ、心が動かされました。

粋な世界観

ストーリーは割とシンプルで、ヒロインのミサキ(山本美月演)らが、一度、敵方に拐われ、主人公ファブルらが助けます。

助けるシーンは、アクションが魅力ですが、本作は、助けた後のシーンが主人公サイドのストーリーから見ても印象的です。

ミサキは、ファブルらのところに行きます。しかし、ファブルもミサキも、助けた・助けられたことには全く触れず、伏線として、ファブルがミサキに約束していた似顔絵を見せます。

・・・しばらくすると、その特徴的な似顔絵を見てミサキは涙を流します。

このシーンは、非常に日本的です。何より、誰も感謝の言葉を述べていないのです。描写も、ミサキの目に涙が流れているだけ。

「阿吽の呼吸」で、全員が色々察しながらも、何も言わない。

コミュニケーションは「言わないと分からない」というのが基本であり、それはビジネスのみならず、夫婦・恋人関係でも同じです。

とはいえ、実際こういうシーンを目にすると、「いいな」と思ってしまいます。

こう言うのを「粋」と表現すればいいのでしょうか。説明はできないのですが、心が動いていました。

エンタメ映画

本作はエンタメ映画としての側面も大きいです。

笑いは「緊張」と「緩和」が大事だ、と言いますが、映画も全てシリアスだと疲れてしまうので、ほど良い「緩和」の役割を果たします。

そこまでシーンが多すぎないのも良いところです。

ファブル(主人公/岡田准一演)

殺し屋という職業があまりにも身に染み込んでいるため、「普通の人間」としての生活が身についていないというポイントがあります。

特に、幼少期から「ボス」に育てられたことから、サバイバルスキルの高さと引き換えに、「普通の人間」らしさを失った感じです。

漫画原作ではあるのですが、「あり得ない」というレベルでないリアルさが面白かったです。例えば、骨つきチキンを骨ごと食べたりする描写があったりしました。

ジャッカル富岡(宮川大輔演)

ジャッカル富岡は、作品の中でTVに出ている人気者という設定で、お笑い芸人的なポジションですが、彼は特段面白くありません。ただ、主人公ファブルは大好きです。

しかし、ジャッカル富岡出演シーンは、セリフと動作がかなり印象に残ります。2〜3回の出演シーンにも関わらず、癖になります。「一発芸」としての魅力に溢れていました。

セリフと共に行う振り付けが印象的だったのですが、エンドロールで、ジャッカル富岡の振り付けが、「振付稼業air:man」だったことが分かり、「あの妙な踊りが印象に残るのはプロが振り付けているからなんだなあ…」と感動しました。

河合ユウキ(藤森慎吾演)

藤森氏は数年前からジム通いをしているそうで、Instagramで鍛えた筋肉を披露したりしているようです。

ちょっと筋肉を見せようとするシーンがあったので、映画PRと絡めてInstagramを活用しているのかな、と思い、PRの仕方として勉強になりました。

少し話が逸れてしまいましたが、彼の役は、「伝説のプレイボーイ」という役柄ですが、ファブルの相棒、酒の強いヨウコ(木村文乃演)になすがままに弄ばれます。

彼自身、「チャラ男」キャラとして活動していた時期もあった経験が活かされていて、「少しウザいキャラ」を演じたら上手い。

そして、少し意気がっている(ように見える)奴を返り討ちにするのはやはり面白いです。池乃めだかさんの喧嘩芸の系列というか、彼の中で、鉄板ネタになってきた気がします。

編集後記

久しぶりに映画を観ました。前作からしばらく時間が経過した後観ると、癒しとしての映画は必要だな、と思います。

私は、近年の映画の中では、圧倒的に「シン・ゴジラ」が好きですが、それと同時期メガヒットした「君の名は。」はテンポが圧倒的に早いのが特徴の一つとなっています。

SNS時代を代表するかのように、物語がどんどん展開しているのが、ここまで爆発した理由だ、という分析をする方もいました。

テンポという意味では逆側にある最近の映画が、「ナタラージュ」です。対照的ともいうレベルで、スローなテンポでした。このスローペースは斬新でしたが、私には少し退屈に感じました。

本作は、その間で、「普通」です。123分の作品ですが、早過ぎず、遅過ぎず、しっかり映画を楽しめました。

割とテンポの早い作品が好きなのですが、本作は良かったです。

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この記事を書いた人

相羽涼太

相羽涼太

読書、手帳術、旅行記・訪問記・食レポ、ジム(運動、食事)、英語学習などを中心に記事を更新します。

インターネットの登場で、「考える」ことが減りがちな今こそ、自分なりの軸を持って、考え、発信していくことを大切にしたいと考えています。

SF(上位10位、2019年1月現在):慎重さ、収集心、個別化、責任感、自我、指令性、目的志向、自己確信、信念、学習欲