「能力を磨く−AI時代に活躍する人材「3つの能力」」(田坂広志著)書評〜社会人として継続的に活躍するために持つべき大方針〜

田坂さんの本は、「成長」に対する言及が多く、そのために個人・組織が何をしていくべきか、ということを考える際の大方針を示してくれます。

今回、この「能力を磨く」という本では、AI時代に突入しても、しっかり活躍するにはどうすればいいのか、ということが書かれています。

端的にいえば、それは人間だけが出来ることに注力しよう、ということになるのですが、それではどう行動していけばよいのか、というところまでブレイクダウンされています。

それでは、詳しく述べていきましょう。

なお、過去にも、田坂さんの本の書評を書いていますのでご紹介まででございます。

中・低学歴者が高学歴者を上回る芽はあるのか

高学歴者は「能力が高い」と考えられる見方がしばしばあります。そうであるならば、「能力が高い」と考えられる高学歴者に対して、中小学歴者は勝ちの目すらないのでしょうか。

当然ながら、そんなことはないのですが、中小学歴者である私自身、社会人になるまでは上記のような疑問を強く感じ、絶望感を抱いていました。

まず、高学歴者(ここでは、「日本における高学歴者」と考え、東大生・京大生と仮定します)の方々は相当量の勉強をしており、各科目における論理力、知識量は高いと言えます。これは、入学試験に合格していることから、一定以上の学力については証明されていることになります。

そして、今の日本社会は過渡期にあるとは言いつつ、高学歴者優遇な社会構造は崩壊してはいないように思えます。その価値観がある人間から見れば、私を含めた中小学歴者が彼らを上回ることができないようにも一見思えます。

しかし、現に、社会で活躍している有名な方々を見ると、学歴に多様性があり、もちろん高学歴である方もいますが、必ずしも「学歴優秀=社会人として優秀」でないように見受けられます。

AIが登場し、使われるのが日常化してくるほど、その公式がイコールでないことが浸透してくる傾向は強まってくるような予感がします。

このことは、学校教育においては「PCスキル」は触れる程度しか学習しないことも関係しているとは思いますが、それはサブ的な要素でしょう。とはいえ、それはメインではありません。

ではどこに社会人として活躍するためのポイントがあるのでしょうか。

私自身、何となく思うところはありましたが、それを芯を食って上手く説明することができません。ただし、そこに「学習能力」以外の要素が関与していることは明らかです。

そこで本書の記載を手掛かりにすれば、分かってきます。それこそ、タイトルの副題にもある「3つの能力」です。

要素を3つに分けてはいますが、要すれば、「人間関係力」です。学生時代における、スポーツを差し引いた場合の唯一絶対にも思える指標こそ「学力指標」ですが、それは「個」の能力の一部の話です。

社会に出ると、利害関係者(ステークホルダー)が関わってくるため、対人関係能力「も」必要とされるのです。

そのため、必ずしもこういう訳ではないのでパターン分類が実は必要ですが、高学歴者の中で、受験戦争で「勉強」にあまりに注力してきた者には対抗するための手掛かりがあり、それは、地域の活動や遊びや部活など「対人関係能力」を磨く側の経験は薄いたことから、そこの経験を活かすことが重要です。

この3つの能力について、簡単に述べます。

職業的能力

いわゆる「仕事力」といいますか、発想・企画力を含め仕事を進めていく能力のことです。

ここでは、「経験」がポイントになってきます。経験したことを、知恵として高めていき、自身の体験として伝えられるようになることが重要と主張しています。

そして、伝える段階まで高めるポイントは、「反省」にあるとのことです。

対人的能力

これは、「ホスピタリティ」のことを指します。AIに出来ず人間に出来ることが「共感」です。

AIは理性的に指示は出来ますが、人間には感情があります。相手に対し、共感し、共感されることは人間にとって大切なことです。

そして、共感する/されるために重要なのが「苦労」であり、職業的能力で述べた「体験」はここでも活きてきます。

組織的能力

ここには2つの要素、「マネジメント」と「リーダーシップ」が入ります。

マネジメントについては、業務指示の分野ではなく、コーチングの分野、「共感」し、「働き甲斐」を感じてもらうことは上司の必要性として残ります。

リーダーシップについては、ビジョンを示したり、部下を「信じる」という行為はAIには出来ません。

つまり、AIに代替される部分は存在しますが、コアな部分は残るということになります。

小まとめ

それぞれの能力は関連しているのですが、「仕事における能力」をいうときは、「学力」でカバーできる範囲の他にはこういう能力があります。

そして、これから大切になってくるのは、学力でカバーできる範囲よりも、こちらの重要性が高まってきます。

高学歴者優遇の謎

しかし、人間関係に関する「3つの能力」の重要性が今後高まるのは理解できるとしても、現時点で、企業に就職するという場合には、高学歴者が優遇されているのは確かです。

それはなぜでしょうか。

高学歴者は、大学入試や、人によっては高校・中学・小学入試を通っており、「2つの能力」が少なくともある程度はあることを学歴から判断できるからです。

その2つの能力がこちらです。

基礎的能力

この中に含まれるのは、「知的集中力」と「知的持続力」です。

受験勉強を見れば分かりやすいですが、12〜14時間とか1日勉強し続けてもストレスを感じない、とかいうのが分かりやすい例かもしれません。

学歴的能力

「論理的思考力」と「知識の習得力」です。

例えば、社会系科目が分かりやすいかもしれません。知識は歴史の用語を知っていることで、論理は、論述問題とかでそれぞれの事実関係を繋ぎ合わせ、上手く論述する能力のことです。

これは「勉強」そのものですね。

小まとめ

人の採用でいえば、面接で対人能力を見るのには限度がありますし、それは実際に現場に出てみないと分かりません。

そうであるからこそ、この2つの能力が保証される「学歴」で、ある程度は見た方がロスが少なくなります。

フィードバックのやり方

社会で活躍するには「3つの能力」が大事だ、ということは分かりますし、それを磨いていく必要性は理解しました。

その上で、現時点で私が抱えている悩みとして、「フィードバック」があります。

過去にも本を通じて考えたことはありましたが、未だに悩んでいる事項の1つです。

フィードバックはやった方がいいのは理解してはいるのですが、その能力を高めるためにはどうしたら良いのでしょうか。

先に触れた「職業的能力」に関して、もう少し深く触れつつ考えていこうと思います。

なお、私は、「反省」にはあまり良くないことに対してするイメージがあることから、記事の文章ではフィードバックという表現を意図的に用いていますが、本書では「反省」という表現をされているため、「反省」を用います。

直後の反省対話

まず第一に、「直後」の対応が大切だと説きます。

「会議や会合、商談や交渉の「直後」に、その場に同席した上司や先輩、同僚や部下と、先ほどまでの会議や会合、商談や交渉の場の振り返りと反省を行うこと」(125ページ)

確かに、こうした企業の文化があれば、その企業は強いな、と思います。エラーをしたときに、「これはエラーだよ」とすぐ指摘が入れば、それは当然反省し、行動の改善に努めます。

私自身は、たまに振り返りコメントを貰えることもありますが、「たまに」です。これは自ら聞いてみることが大事だと思うので、聞いてみたり、それが叶わないケースでも、「直後」にフィードバックの時間を設ける計画の練り方をすることが大切だな、という気づきを得ました。

深夜の反省日記

これは、経験した様々な場面を、

「心の中で追体験し、その場面での自分の技術や心得を振り返り、その反省を言葉で記していくという技法」(127ページ)

のことです。

「直後」に加え、それを復習するように、もう1度しっかりと向き合うことの大切さを述べられています。

ただし、ただ反省するだけでは成長しません。「どういう観点が見るか」こそが重要になってきます。

私淑の技法

これは、反省する観点を持つ際に大切なことになります。実際、「自分なりの観点」だとどうしても甘く評価してしまいます。

「優れた能力を持っている人物を、心の中で「師匠」と思い定め、その人の仕事をする姿から、言葉を超えて、直接、その技術や心得を学ぶこと」(131ページ)

師匠の観点から見ることが大切であり、師匠を持つことがまずは重要であるということです。

そして、そのポイントは「心の中」で師匠と考え、ひたすら真似る姿勢で問題ないということです。直接の指導を受けられなかったとしても、真似ることの大切さを認識しました。

「真似ぶ→学ぶ」という語源の話もありますが、正にその一例です。

部下との接し方

私自身の悩みとして、現在、ナナメも含みますが、自身の部下との接し方が難しいな、と感じています。

部下との接し方は、本書でいう、「組織的能力」を考えていくことで、ヒントが見えてきます。

本書によれば、以下の3点が重要であるとのことです。

①信念を持って魅力的な「ビジョン」と「志」を語る力

②誰よりも強く「成長の意欲」を持つ力

③メンバーの持つ「可能性」を深く信じる力

この3つを見ると、「ワンピース」や「キングダム」といった漫画のキャラクターを思い出しますが、それが人気漫画たる所以なのかもしれません。詳しく述べずとも、漫画をイメージすると、スッと自分の中に入ってきました。

私としてのポイントは②であり、ここは少し意外でもありました。リーダーが一番「成長の意欲」を持っていることが重要なのだそうです。もっと「成長」に貪欲になろう、と刺激を強く受ける言葉でした。

何より、どれも後天的にしか身につかないところであるというのがいいところです。本当に、人間は、「習慣」と「思考」で成り立っているなあ、と思いました。

編集後記

私は、そこまで学習をしっかりはして来なかった人間ではありますが、AI時代はチャンスの時代だ、と捉えることができたところが、一番本書を読んでよかったところです。

田坂さんの本は、理解はしやすいですし、非常に論理的であると思いますが、それを咀嚼し、表現してみると、難しかったです。

ちなみに、サブ的な要素であり、本では触れてはいませんが、「AIを使いこなすこと」も大切ですね。

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この記事を書いた人

相羽涼太

相羽涼太

読書、手帳術、旅行記・訪問記・食レポ、ジム(運動、食事)、英語学習などを中心に記事を更新します。

インターネットの登場で、「考える」ことが減りがちな今こそ、自分なりの軸を持って、考え、発信していくことを大切にしたいと考えています。

SF(上位10位、2019年1月現在):慎重さ、収集心、個別化、責任感、自我、指令性、目的志向、自己確信、信念、学習欲