「9マス」文章術。
分かりそうでよく分からない文章術ですが、文章のアイデア出しに寄与する文章術です、と言うフックを付けると、理解しやすいと思います。
文章を作成する際の補助輪として機能する文章術です。
その上で、本には「文章術」についても記載があり、これまでの理解を深めるのに寄与しました。
それでは、詳しくみていきましょう!
「9マス」文章術
「9マス」を使った文章術とだけ聞くと、大谷翔平選手が高校生時代に「マンダラート」を使って9×9=81マスのものを作成していたことをイメージしていました。
マンダラート自体は、目標達成のための手法として有名です。しかし、この大谷選手のようなマンダラートは実際、相当高度です。まず、大谷選手は、文章作成ではなく、目標達成で使っています。何より彼は野球の専門家なので、レベルが高い使い方です。
そのイメージでいたので、本を読む前ではハードルが上がっていたのですが、本を読みつつ話を聞くと、この「9マス」文章術自体は、文章作成のアイデア出しの部分での心理的ハードルを下げてくれる、実は大変使いやすいツールです。
「9マス」文章術の使用方法は簡単です。簡潔にいえば、予め9つの質問を考えておき、その答えを書くだけです。
9マス文章術のメリットは、アイデア出しの作業がはるかに容易になるところです。かえっていえば、アイデア出しのツールという認識が大切な訳で、以降の情報の取捨選択をするのは自分でやる必要があります。これは、「発散」作業を担うツールであり、「集約」は9マスで出たアイデアから選択し、文章に書いていくことですが、それは自分でやる必要があります。
そして、この9マス文章術を要素分解すると、作業は、「予め質問を考えておく」「答えをその場で書く」のみです。
詳しく述べていきます。
予め質問を考えておくこと
抽象的にいえば、「何事にも事前の準備が大切」となるところですが、それをツール化したのが、「9マス」文章術です。
そのため、映画の感想を書くならば映画を見る前、食レポを作るなら食べる前など、いずれにしても、「事前に」質問を9つ考えておくことが必要です。
本を読むと分かるのですが、「9つ」というと一見ハードルが高いように見えますが、「興味深かったポイント①」「〜②」「〜③」というように、3つの列挙をすることで、3マスを使用しよう、といった使い方もありです。
ここのところが、大谷選手のシートが有名になり過ぎている弊害だと思いますが、「少し頑張ってみて」質問を考えることをしてみよう、ということです。
答えを「その場」で書くこと
その上でのポイントは、書評記事を書く場合で例示しますが、質問を考えて答えが思い付いたときに、それを「その場」で書くことです。
「9マス」自体は、思考を発散させ、アイデア出しツールとして活用することから、アイデアをどんどん出すために活用することが大切です。
そして、人間は、誰もが持つ「忘却」機能があるので、日々刻々と「思っては消え」を繰り返しています。
その「消え」が発生する前に、この場合でいえば、9マスにアウトソースしておくことが大切です。
そして、それはかなり雑で問題ないのです。人間はその部分では有能で、トリガー、つまりキーワードだけでも書き出しておくと、思い出す可能性が高まるのです。
これら2つの作業をするだけで、文章を書くハードルがはるかに下がる、というのがこの本のメインメッセージだと、私は理解しています。
本ブログの発信軸(2019年4月現在)
そして、「9マス文章術」を使って、このブログの発信軸を考え直すこともしてみました。それがこちらです。
今のところ、パッと書いたところでは、この軸を作成し、記事化しています。ドキュメンタリーブログなので、「自分の成長」を全ての基軸に置いています。
例えば、「新しい発見」のところは、この書評記事を含め、本・セミナーから刺激を受け、その後思索したことを発信することを含みます。また、「人生を楽しむ」では、食事や旅などのことになります。
そう考えていくと、9マスより深部の話も考えるようになってきます。もっとカッチリしてくれば、マインドマップにまとめると綺麗に整理できてくるかな、と感じています。
このように、更なる思考も生み出してくれる効果もあり、文章作成の導入ツールとして用途が広いな、と感じています。
「ベーシック質問」と「スコップ質問」
次に、ここでは、「質問」についての話題を取り上げます。
しかし、文章術の本なのに、なぜ一見無関係な「質問」を取り上げるのでしょうか。
その答えは、「文章は自問自答で成り立つ」からです。
自問自答であるため、答えも文章では示しているので、文章の読み手の観点からすれば一見分かりにくいのですが、堀江貴文さんの本の作り方が文章のあり方を示しています。
堀江さんは、編集者がインタビューして、堀江さんの言葉をインタビュー等から編集者にまとめてもらった上で、修正をして、本として出してもらうという話を以前見聞きしました。
堀江さんと編集者の話の内容が本になっている訳で、そう考えると、文章を自分で生み出す場合には、自問自答をする必要になります。
いわゆる読者のニーズを考える、ということは、言葉はカッコいいですが、その内容は、読者からの質問を想定し、その答えを文章に示しておく、ということになります。
文章はコミュニケーションの1手段なのです。その上で、質問を考えていくと、質問には「ベーシック質問」と「スコップ質問」の2種類があると、著者は本の中で記載しています。
ここで、本文の説明を引用します。
「ベーシック質問は、文章のテーマに関する基本的な材料(情報)を集めるためのもの。」(24ページ)
「スコップ質問とは、より具体的な材料(情報)を集めるための質問」(同ページ)
とのことです。
私はこれまで、質問には、「広げる」と「深める」の2つがあると理解してきました。
このことについては、この記事に記載しています。
この理解と、この本を読み、著者の山口さんの話を聞いて、質問に対する理解を深めることができました。
繋げて考えると、ベーシック質問が「広げる」でスコップが「深める」です。
そして、得てして「良い質問ですね」と評価され、相手のインパクトも大きいのは、「スコップ質問」です。面接で、面接官から質問する権利を与えられたとき、この質問ができる者が評価が高くなります。
疑問詞でいえば、「なぜ」「どのように」という質問をした際、スコップ質問となりやすいです。
しかし、私が感じたのは、どちらも大切な質問であるということです。良い質問を狙い過ぎて、「ベーシック質問」を抜かすと、掘る穴を間違えて、「答えにくいことを質問するなあ」と思われるのです。
つまり、ラッキーパンチとしてのクリーンヒットは起こりうるにせよ、基本は、ベーシック質問をしてから、スコップ質問に移行するということです。
これを意識するだけでも、質問の仕方、ひいては話し方、文章の書き方に次第に好影響を与えるようになってきます。
読者のターゲットを設定する
私は、文書術の基本は、完読を目指すこと、と理解していました。
その理解を深めることができました。
本書によれば、「読者ターゲットを設定し、ニーズを把握し、読後の反応を決め、読者にプレゼントを贈る感覚で文章を書く」ということが必要なようです。
しかし、これは言うのは簡単ですが、実践するのは相当難しいです。
とはいえ、その感覚が究極のゴールだと知りつつ、だからこそまずは「完読」を目指して文章を書こう、という順番で理解すれば、かなり文章の質の上げ方の基本的理解は進むな、と思いました。
半径5メートル以内のネタを書く
私自身は苦手ですが、背伸びをせず、身近なネタをありのままに書く、と言うことがSNSライティング上は特に重要ということが本に記載されていました。
解釈を加えますが、読者はそれぞれ自身の経験があるので、具体的なエピソードを述べるだけでよく、抽象化は読者の中でするのです。
その観点も大切だなあ、と読んでいるときに思いました。
ただ、実際ここは表現の仕方が少し難しいところで、ネタは自分の身に降りかかったことを書きつつ、転用ということを考えると、自身で抽象化までするところを私は重視したいと思っています。
とはいえ、共感を呼ぶという観点では、具体論を徹底的に書くのも手法の1つであり、それは結局ターゲットの差ということもあるとも思いつつ、文章の深さ・難しさも感じました。
編集後記
この「9マス」文章術は、本当にやってみないと分からないな、と思いました。
食レポ・映画評とかがパッとやりやすいかもしれませんが、実際にやってみると、アイデア出しがはるかに楽になります。
本はこちら
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