書評『10年後の仕事図鑑』(堀江貴文、落合陽一著)

この本は、たまたま友人がお節介にも!?貸してくれた本で、しばらく手をつけていなかったが、そろそろ返さないとな、と思い読んだ本だった。

タイトルはこうあり、確かに章をそこに割かれてはいるが、メッセージはそこにはない。また、著者も10年後なんてどうでもいい、と切り捨てている。どちらかといえば、サブタイトルにある、「新たに始まる世界で、君はどう生きるか」の方がはるかにこの本の内容を要約していると思う。ただ、タイトルは、本を売る目的もあるから、こうしたタイトルでいこう、となったのであろう。

さて、中身については、簡単に述べると、これからAI・IoTの時代が来ると言われているが、時代が来ると何がどう変わるのか、という記載がされ、AIが得意なことと苦手なことを述べた上で、では人間はどう生存戦略を図るべきか、と考えている。

著者2人はドライな考え方で、一億総活躍的な考えとは離れている。この本の中でも改めて保育士の話をしているのでも分かりやすい。時代の中で勝ち組になって、フロントを張っていくにはどうすべきか、という視点が多いので、そこは注意されたい。

ただし、落合さんがバランスを取ろうとされているところもあり、マネジメントが得意なAIに指示され、指示通りこなす分野と、競争領域でないところでAIを使う側となる分野と分ければよい、そしてそこには優劣はない、というところがあり、そこは理解できるところであった。

以下、本の記載から具体論も取り上げつつ、考察も含めて述べていく。

本書のメインポイントである、人間の生存戦略に関して述べていく。堀江さんは遊びを突き詰めろ、落合さんはブルーオーシャンを狙え、と書き続けている。その上で人間にこれから大切になるのは、①対話②情熱③戦略策定の3つであり、ここが勝負を分けるところにある、と理解した。

対話については、人間は対話で相互に意見交換をするので、そうやって進めることはAIにはできない。わかりやすい分野でいえば、スナックなど「ママに会うために行く」といったところは将来も生き残る、というところである。

話を進めると、そもそも人間は頭の中でネットワークを構築しており、情報を関連づけるのが上手い。AIもdeep learningで指示内容にある分野の知識は身につけるが、それを転移させ、他の分野に活用することはできないのである。つまり、特定の分野にある知識を別の分野に上手くアレンジすることはAIには難しいので、それは人間がやっていくということになる。

だからこそ、アウトプットが大切であり、色々な世代の人と会い、話していく中で知識のネットワークを構築し、アイデアを生み出すことが人間にできることである。対話というアプローチは一見意外であったのだが、本を読むと納得でき、そのためにはアウトプットを批判を恐れずガンガンしていくことが大切なんだな、と気付かされた。

次に、②情熱については理解しやすいだろう。〇〇をやってやるとか、監督が選手に熱い言葉をかけ、熱気をあげる(一般にはモチベーションをあげると言おうか)という点である。

堀江さんは、本書に限らないが、猿のようにハマれ、とある。遊びのように、むちゃくちゃハマれ、とあり、そして、それが高じて100分の1くらいになれば、その分野が3つあると、その人材は代替されない、という訳である。

人間の心の動きは人間がやるしかないということと言い換えられるだろうか。だからこそ心が重視されて来ているのかもしれない。加えて、AI時代という機械的な時代が到来するからこそ、こうした、想いとか情報とかが大切になってくるのだな、と感じた。

他方でそういう私自身が情熱を持ってやっているかと言われると、まだ足りない気がしている。ただ、情熱を持ちつつはあるので、アウトプットを増やしつつ、フロントにたって切磋琢磨しないとな、と考えていた。

③は、戦略策定である。これはAIは、物事の機械的管理は得意だが、まだ未知の分野に関しては行き方が分からないので、人間に代替できないというものである。物事を前に進めるのは人間なのだ。

だからこそ、個人では情熱を持って、マネージャーは、プレーヤーをモチベートしつつ、対話の中で、戦略策定をしていくことこそ、AIが出来ないから、人間の能力の中で重視されるのである。

なお、その他、

○弁護士とか知識のみを使うのはなくなっていく。

○同時に貨幣変化も起こっており、通貨は意味をなさず、仮想通貨の時代が来るかもしれない。いずれにせよ、さらに信頼が大切になるであろう。

といった記載もあった。

人生の中での仕事とあるように、仕事とプライベートの境界線はなくなってきている。だからこそ楽しむことが大切だ、ともある。

総じて、堀江さんの一貫した主張に、落合さんがスパイスを振っているような本であった。

いつか直接お話しできる機会を作れるようになりたいな、とも思わせる、自分の内にあるものは何か、と突きつけられるような本だった。

この記事を書いた人

相羽涼太

相羽涼太

読書、手帳術、旅行記・訪問記・食レポ、ジム(運動、食事)、英語学習などを中心に記事を更新します。

インターネットの登場で、「考える」ことが減りがちな今こそ、自分なりの軸を持って、考え、発信していくことを大切にしたいと考えています。

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