「中小企業診断士」と具体の資格が記載されていますが、この本は一般的な勉強法、特に資格取得のための計画を考えるやり方として明快に書かれています。
その観点から考え、「試験合格戦略の練り方」として再構成した書評になります。
目的の設定
試験に合格するためには、「継続的な取り組み」が必要になりますが、そのために必要なことが、実は、「目的」の設定になります。
この本では「中小企業診断士」になりますが、資格取得の目的を記載します。私自身、「中小企業診断士」の資格を考えてみようとすると、今取りたい強い目的はないので、少なくとも今は別に受けなくていいな、と思いました。
目的は何でもいいのですが、「自分の現在の状況を踏まえた、具体的な目的」を書くことが大切であるということでした。
とはいえ、目的は「崇高でなくていいから自分がワクワクすること」が一番大切だと個人的には思います。
「この資格を取って金持ちになって結婚する」とかどう考えても邪な考えだとしても、自分がそれを想像(妄想)するとワクワクすればいいと思います。
とにかく、これがモチベーション源として機能します。私は「モチベーション」という言葉が好きでないので言い換えると、落ち込んだ時は投げ出したい時に見返すことで、原点に戻れるようにするという機能があります。
本書では、目的を紙に書くことを推奨していましたが、書いて都度見返すか、都度口に出すことが肝要だと思います。
目標設定
ここは資格試験においては分かりやすいです。「合格」になります。
ポイントは少ないですが、「期日を決める」ことが唯一のポイントです。
期日を締め切らないと、ずっと達成しなくても構わないことになってしまうからです。目的と目標の違いが分かりにくいですが、「目的」は定性的な記載を可とするが、「目標」は定量的で、成否が評価出来るものという違いがあります。
試験を知る、科目別合格戦略を立てる
そして、ここまで決まってから、試験の中身について本格的に学んでいきます。
具体的には過去問を研究せよ、ということでした。出題傾向を分析し、やることを炙り出していきます。
自分の中で、「これなら出来る」と思えることが大切です。のちに修正することもあるとは思いますが、それは後に新しい知識を知るからであって、少なくとも戦略を立てた時は、「これをやればOK」と自分の中で確信出来るレベルで述べることが大切です。
学習計画を立てる
大まかな「戦略」を立てた後、「計画」に落とし込んでいきます。1週間単位で時間管理をし、勉強時間を確保して、実行していきます。
ここは2ステップあり、「週間で何をしていくのかをまとめ、全体のやることをブレイクダウンする過程」と、「週間の中で、1日の時間の中で何をしていくのか」を決めていきます。
こう考えていくと、「見通し」を考えるのが上手な人ほど、資格を取るのが上手いと思います。計画を立てることと、見積もり時間が正しいこと、そして、計画を淡々と実行していくことが大切です。
過去問中心の学習
実際の学習は、「テキスト⇄問題集」を循環させることで、インプット・アウトプット・フィードバックを回していくことが大切です。
そして、その中心となるポイントが「過去問中心」と著者は言います。テキストを読むよりも問題集を解く方が面倒なのですが、ここは逃げようがないですね。
「過去問が大事」というのは、もはや色々なところで目にしていると思うので、ここで強調しなくてもいいと思います。
ワンポイントアドバイス
科目が複数ある場合は、「マルチタスクしない」がポイントです。グルグル回していくのですが、1回回すこと自体は、1つに集中するということでした。
これは意外と難しいです。その理由が、「現代は情報に溢れかえり過ぎている」ことにあります。
これを徹底するのが目移りすることが簡単にできる現代では一番難しいとは思いますが、「シングルタスクこそ成功の秘訣」ということです。
おわりに
この本自体は、「中小企業診断士」の「1次試験」に絞ってはいますが、この本の要点は、「勉強法」にあります。
科目の章もありますが、総論的な勉強の仕方の方がためになる本でした。何より、「時間の使い方」をしっかり見つめ直すことを的確に指摘されたと思います。
この本に書いてあることこそ、「言うは易し、行うは難し」だとは思いますが、大方針を得たので、この考え方を自分の軸に据えておこうと思いました。