確かメルマガか何かを読んでいる際にこの本の内容が抜粋されており、そこから興味を持つに至った。
私自身は、野球に関心ゼロという訳ではないのだが、かといって関心がかなり強い訳ではないので、ルールくらいは知っている訳ではなかった。
ただ、落合旧監督のいわゆるオレ流というのは、なんとなく関心はあった。
プロ野球は、光が当たっている選手はかなり注目されるが、その下には、かなりの選手がいる。多くの選手が毎年戦力外通告を受けたり、怪我との厳しい戦いを強いられています。こうした現実も含めて本書では監督・選手のあり方論について書かれている。
落合博満さんは、テレビで話す姿を見ると、かなり圧がある。私は適当で、、という冗談も飛ばしつつも、短い言葉で本質を突いて話すイメージだった。
そのイメージ通り、いや、イメージ以上にシビアな方なんだな、ということがこの本を通じて分かった。
本の中では、ビジネスもメディアに晒されてないだけで、プロ野球と同じくらい厳しい社会に晒されている、という言葉があった、とはいっても光と陰の差の酷さはプロ野球が上回るし、何よりビジネスよりも皆ある程度のレベルはある中での競争なので、競争の熾烈さは違うのでは、とは思った。
とはいっても、ビジネスも十分熾烈な争いだから、そんなにプロ野球に憧れるなよ、という氏の主張の言わんとしていることは分からなくはないのだが。
本書は、4ページに1テーマで、さくさくと進んでいく。一気に読める本だなぁ、という印象である。何より、落合氏の自分への厳しさがかなり伺いしれます。徹底しているな、考え方に芯が通っているな、とすぐ分かる。
さて、本論に入りますと、以下、大きく3点に言及する。
まず、落合氏は徹底して競争肯定派です。その証拠の1つとして、最初の章に、「向上心より野心を抱け」という項が出てくる。
人は最後、物事に対峙する時は一対一である、という意味での「孤独」を示した上で、素直・熱心とかの向上心はみんなある、ただ、レギュラーの寝首をかいてでもポジションを奪ってやろうと心に秘めるのが一流への近道である、とある。
モチベーション向上術とかよくあるテーマだが、そんな生温いものは皆持っている。そこから這い上がるには野心が必要だ、ということだ。
なかなかこんなこと本に書けることじゃないな…と驚きつつ、野心の重要さを久しぶりに再認識させられた。やはり、強く思い続けないと思いは叶わないし、思いは向上心では弱いな、とはこれまでの経験上気づいていたはずだったのだが、最近はこうした想いが弱くなってしまっていたな、と自分に反省した。
最近は、仕事には情熱と執念が大切だなぁ、と思っていたが、野心を抱く大切さもそのラインナップに入れておこう、と決意した。
次に、数値についての彼の考え方が腹に落ちた。
ビジネスマンも野球選手も、自分との戦い・相手のある戦い・数字との戦いの3つの戦いがあると説く。記載順に戦いは流れていくとしており、自分との戦いは、ごく早い段階のもので、まず、自分で仕事ができるまで、仕事を任される段階までとしている。そして、そこから、相手のある戦いに移行する。何気なく相手のある戦いとしており、これは相手との戦いと書いていないところも考えさせられるが、相手のある戦いて相手を納得させる、信頼を勝ち取るかなどを考えた後、自分の中で切迫感・向上心が湧いてくると数字との戦いに達する。
そこで大切なのが、達成不可能に思える目標を立てることである。目標がノルマになってはならないので、達成可能なところに目標を置いてはならない、と主張している。
ノルマが何か重いモノのように感じてしまうのは、こうした意味か、と理解した。また、データに躍らせるな、自分がデータになれ、ということも主張されており、かなり納得できた。
最後に、大きな成果を得るためには、一兎だけを追え、というところである。自分の目標を達成したり、充実した生活を送るためには、必ず一兎だけを追い続けなければならないとあった。
ここは、他の方もよく主張しているので、しっかり頭に叩き込んでおきたい点だ。
総じて、本書では、「俺は基礎とか、思うことを書く。そこから自分で考え、自分でやっていけ」と落合氏が語りかけてくるようである。読んだ後に自分で考えさせられる本と言えばよいだろうか。
実際に落合氏の指揮下にいた人物は、いかんせんシビアな考え方なので大変だったかとは思うが、考える力がつき、成長に繋がっただろうな、と思った(あまり落合氏の指導の良さエピソードをメディアで語られないので分からないのではあるが。)。