書評「書かずに文章が上手くなるトレーニング」(山口拓朗著)

書かずに〜トレーニング、とあったので、トレーニングメニューが本の中に書いてあり、それを自分の頭でやるワークが書いてあるのかな、と思いましたが、読んでみると、印象が覆りました。

むしろ、文書のアイデア出しからディテールの部分まで、一通りが説明されています。また、この本自体が300ページに渡る分量です。そのため、著者はこの本を、書くのが苦手な初心者向け、としていますが、中級以上の経験を積んできた人の方が、自分なりに思うところが多いのではないかな、と思いました。

色々と学びとなる箇所がありました。それゆえ、候補シーンが多く、難しかったのですが、あまりに多くのシーンを選んでもなかなかこの本の良さが伝えられないので、良かった部分を3点紹介します。

まず、書くことの意味について、「書くことを通じて、人は思考を深めることができる」とあり、これは今まで気づかなかった視点でした。哲学者の深い考察に半分憧れ、半分考えすぎでは、と思っていたのですが、この思考は書くことによって養われていったのかな、と想像しました。

書いて短期記憶にあった知識を長期記憶に残すことで、記憶から自身の意見や価値観を引き出しやすくし、自身やその気持ちを明らかにしていくのです。だからこそ、文章を書くことに限定されず、ノート、手帳とかに積極的にメモを取るだけでも意味があるのです。よく考えてみると、確かに打ち合わせとかでも何も書かずに臨むよりも、しっかり書いた方が、そこから考えるし、言われたことから出た考えがまた出てきて、それをまた書いて、という好循環が生まれているな、と思い返しました。仕事上でいえば、議事メモを作成した方が頭に残ります(作成すると時間はかかるのですが。)。

具体的な動作としては、自問自答をして答えを出すことの繰り返しが文章を書くこと、とはっきり言っています。自問自答って大切ですね。普段無自覚に自問自答しているのですが、意識的にしてみようかと思いました。

次に、文章ネタに関する考えで、アンテナを立てるとは、気づく力を高めるとも言い換えられる、気づく力こそが閃きの正体である、というところです。アンテナを立てることが大切とよく言われますが、気づいて知識を繋げることが、閃きやクリエイティビティに繋がると理解しました。

最後に、自分が周りの目を気にせず意見を述べるために、他人がそういう価値観を持つ人間であることを認める、他者承認をするべき、というところです。文章を書くとき、自分の思いをさらけ出した方が相手に伝わるが、なかなか難しい。だから、まずは他人の違う価値観をそれぞれ認めることから始め、そこから違う価値観を持つことは至って普通なんだ、と思い至り、自由に意見を述べられるようになるようです。勉強になりました。

なお、情熱で書いて、冷静で直す、と山口氏がよくしている主張もありました。直すは編集なので、それは大切ですね。書く文は誰でも冗長になるから、編集するプロセスは必ず必要である、というところに、大変同調しました。

その他も書く、伝えることについて、必要なことを一通り書いてくれています。

タイトルと中身が合っていないのでは、、と思わなくはないものの、良本であったかと存じます。

この記事を書いた人

相羽涼太

相羽涼太

読書、手帳術、旅行記・訪問記・食レポ、ジム(運動、食事)、英語学習などを中心に記事を更新します。

インターネットの登場で、「考える」ことが減りがちな今こそ、自分なりの軸を持って、考え、発信していくことを大切にしたいと考えています。

SF(上位10位、2019年1月現在):慎重さ、収集心、個別化、責任感、自我、指令性、目的志向、自己確信、信念、学習欲

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