「古代から現代まで2時間で学ぶ 戦略の教室−生き抜くための勝利の全法則−(鈴木博毅著)」【書評】〜来たる時代の対応のため、過去から学ぶ〜

戦略論というと、野中さんらの「失敗の本質」という本が代表例として思い浮かびますが、この本は、色々な戦略家たちの当時の考えを筆者の視点の元で再構成した本です。

この本を読んで、どう感じるか、考えるかということが重要だな、と思い、「自分は戦略的に生きることができているのか」と考えさせられる本でした。

はじめに

現在、「逆算手帳」の実施に取り組んでおり、その中でも、「ガントチャート」について学んでいた時に、参考図書として提示された本です。

先日、もう一つのお勧め本である、「プロジェクト・マネジメント」を読んだのですが、こちらの方が、本当に「人生を戦略的に生きる」やり方を教えてくれたのに対し、本書は、「企業がどう勝ち抜いていくか」についてフォーカスを充てた本だと感じました。

アレクサンダー大王的統治

社長とかトップは、部下に対し、ビジョンを共有することが大切である、というのがアレクサンダー王の統治の方法から学べます。

「大きな未来を思い描き、ビジョンを相手に共有させることで動かしました。(中略)部下を奮戦させるため、大王は未来へのビジョンと行動力を誇示し続けたのです。」(32ページ)

アップルの創業者スティーブ・ジョブズやマイクロソフト創業者のビル・ゲイツは、この型で、ビジョンを提示し、自ら先陣を切って行動し、部下に厳しく当たりつつも、成長することを求めました。

協力を得るためには、「ビジョンに共有してもらうこと」が大切だ、ということを学びました。まだ自分の中に、想いは秘めるもの、内に感じ、共有はしないものという考えがあった(←ビリーフのように凝り固まった考えになっているのかもしれません)のですが、確実に、共有することで、協力者が現れたり、自分のビジョン推進に寄与することは、色々な例があると思います。

一朝一夕にはいきませんが、まずは自分に正直に生き、しっかり意見を発信していきたいと思います。

少数と多数の差異

この本を読んでいくと、数で劣る場合何をすれば良いのか、また、数では圧倒している場合、慢心せずに、勝ち続けるためにはどうしたら良いのかを教えてくれます。

例えば、著名なコンサルタントの大前研一さんの「製品市場戦略」によれば、

・一番高く評価される指標に近いところにある社(大企業)は、ニッチを生じないような状況を作る必要がある。

・遠いところにある社(中小企業)についていえば、ニッチから逆転を狙うため、強みに特化した戦略を取るべきである。

ということが分かります。少数はニッチで光ることを狙い、多数は少数が輝く可能性のあるニッチを潰していくような戦略を取ることが企業等にとって必要であることがわかります。

また、「ランチェスターの法則」によれば、

・強者の戦い方は、数が多いので、集団対集団の戦いにすればよい。そのため、総合力やグループ全体の力を訴求する。

・弱者の戦い方は、集団での戦いを挑むと被害が拡大することから、一騎打ちにした方がよい。そのため、顧客重視のビジネスモデルになる。

という全体傾向を分析することができます。日本の大企業がどんどんグループ化していることは、こういう意味もあるんだな、と参考になります。

とはいえ、ネットが登場してくると、ますます「個別のカスタマイズ」が価値を生むといいますか、以下に柔軟に対応できるか、が重要になってくるような気がしています。

いわば、弱者の戦い方がネットによってその範囲を拡張することができるようになり、その流れの一環が、プラットホーム化にあると考えています。シェアリングや、オンラインサロンは、顧客のニーズを顧客が一部生産者側にも回れることにより、満足度を高めています。

そう考えていくと、ネットは真の意味で、「第三次産業革命」となっていくのかもしれません。本当にそうなると、グループでいくらニッチを作ろうとしても、ニッチが進出しやすい世の中になるので、本当に大企業の足下が危なくなってきます。現在も、「危ない」とかそういう声はありますが、まだ世間的認知が変わるほどの次元には達していないと思います。

そうなると、戦略も考え直しである訳で、考えれば考えるほどに、臨機応変に戦略を考えることが大切だと学びました。

かつての失敗から学ぶこと

時代が変わっても色褪せない戦略もある中で、当時にはフィットしていたが、今は違う戦略を取るべきという話も多くあります。

例えば、本書のマーレーの章では、日本軍部の失敗の要因の一つについて、かかる指摘をされています。

「1910年前後から、日本の軍部は学歴至上主義に陥り、実践経験ではなく学業成績で昇進を決めたため、机上の空論を振り回す上官が激増し悲惨な戦場を生みます。(中略)上位の課題である「実践における強さ」が破壊されたのです。」(77ページ)

これは、明治維新の時の薩長の派閥をなくすために学力を重視したことから起因したそうですが、戦争と学力は必ずしもイコールではないため、実践経験を見ないというのは誤っていると今になればパッと分かりますが、当時の日本は全く分からなかった訳で、戦略を常に考えないとこうなってしまい、最終的に第二次世界大戦の悪夢を生み出してしまうことが分かります。

とはいえ、この記載についていえば、今はどうなのでしょうか。以前よりはマシとよく言われはしますが、まだまだ学歴至上主義は残っているようだ、という印象はあります。日本人の全体傾向としても、変化にあまり強くないことがいえ、硬直化しやすいのかな、と思いました。日本が島国であることも、その原因であると思います。

歪んだ教訓を過去から引き出してしまうと失敗する旨の記載もあり、適切に「失敗から学ぶ」「成功を真似る」をすることが大切だと学びました。

おわりに

本書にも記載がありましたが、歴史と戦略は学ぶべきだと思います。

しかし、それはこうしたカタログ式のもので読むというよりも、1つについて深めていく方が大切なのではないか、とも思いました。そうして深めていく中で、ふとこの本に立ち帰ると、発見があるかもしれません。

また、戦略は一度立てたら終わりではなく、都度見返すことの大切さも学ぶことができました。

本はこちら

この記事を書いた人

相羽涼太

相羽涼太

読書、手帳術、旅行記・訪問記・食レポ、ジム(運動、食事)、英語学習などを中心に記事を更新します。

インターネットの登場で、「考える」ことが減りがちな今こそ、自分なりの軸を持って、考え、発信していくことを大切にしたいと考えています。

SF(上位10位、2019年1月現在):慎重さ、収集心、個別化、責任感、自我、指令性、目的志向、自己確信、信念、学習欲

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