書評「頭のいい説明は型で決まる」(犬塚著)

タイトルの頭に東大院生が開発!…ともあることから、一見受験本に見えるのですが、説明本です。

メルマガでふらっと紹介されていたため読んだのですが、かなりの良書でした(こういうのをホームラン本というんでしょうかね。少なくとも2ベースヒット本以上なのは確かです。)

この本は、駿台予備校の元講師が書いた著書なので、例えが受験のものも多くなるため、受験本的なタイトルになっているのですが、理系的な考え方で、実に論理的にかつ分かりやすく、「わかりやすい説明」のためのノウハウを教えてくれます。書籍内では、IKPOLET法というものが紹介されています。

分かりやすい説明ということに留まらず、物事を分かるには、というところから、目標達成に向けて何をすべきかというところまで、述べてくれているのが、よいところです。説明者だけでなく、学習者にも、大変タメになる本だと、私は感じました。

まず、序章で、難しいとは、ということが記載されており、まず、頭をガンと打たれたような衝撃を覚えます。

「難しいとか優しいは形容詞なので、基本的には主観」としてから、「あなたと相手の知識や理解度にギャップがあるとき、その格差に対して相手は難しいと感じる」と書かれているのです。つまり、難しいとは、相対的なものである、と。一見すると、難しいというのは自分の能力が不足していることと思ってしまうのですが、そうではない。情報という相手と自分との関係で、難しいと感じてしまっている、というだけである、と理解しました。まあ、言われてみればそうなのですが、なかなか的をついた記載でした。

また、個人的には、少し説明が面倒にも思う時があり、せっかく自分が身に付けた知識を相手に教えて、相手を成長させて、自分に近づけてどうするんだ、とか思いましたが、これもしっかり誤解であると本書では否定してくれました。書籍の中では、「あなた自身がしっくりきていないことや腑に落ちていないものは、どんなに頑張って説明しようとしても、空いてるに突き刺さることはありません。」という記載があり、追って、「わかる」のは、「自分が既に持っている知識と、新しい知識とが繋がること、と書かれているのです。そうとあらば、相手に説明する、とは自分がしっかり学んで理解していることが前提であり、まず相手に追いつかれることは考えられないこと、かつ、分かりやすい説明をすることで、自分がよりそのことについて深くわかる、ということが理解できました。だから、説明するためには相当な準備の上で実施する必要があるのだ、と得心が行きました。学習者は最初は必死に理解するために復習して学んでいくけれども、そこから使うという段階になり、予習して知識を使うための素地を得る、そして、フィードバックをして更なる成長へと繋げていく。人とコミュニケーションをすることの大切さも理解しつつ、「学習とは」についての理解も深まったように感じました。

次に、本の順番からは前後してしまうのですが、Linkの章にて、「人は本能的に、関連付けたがる生き物である」とあり、転移の章でも、「遠い転移ほど良い」「転移を上手く活用することで、学習の価値を上げることができる、とあります。これは、情報は一人ではいられない、と最近思い、リンク付に興味を抱いていた自分にとっては驚きでした。人間は本能レベルで情報の関連性を求めているんだ、と。確かに、脳科学から見ると、ニューロンが刺激し合って、脳が活性化するようですが、人間の本能レベルで情報の関連を求めているというのは、言われてみれば当たり前なのですが、気づかなかったところです。本書では、説明で推奨していることもあり、「そもそも〜」という記載が多く出るのですが、そのそもそも、という前提を疑うところに、新たな発見があるのだな、と発見できました。

更に、「説明するにはプロファイリングが重要」という記載も驚きました。例えで、優秀な講演家とかは、まず聴衆の知識レベルを知りたがる、とあるのですが、なるほど。。。となりました。相手の知識レベルを知り、そこから知識の距離を見積もり、到達ラインを設定し、説明をして、理解してもらう、ということです。だからこそ、よく言われる、「人によって説明の仕方を変えるのが良い」に繋がる訳なのか、と理解できました。本書の説明が本当に上手なので、知識のリンクを更新しながら学ぶことができます。

最後に、目標と手段の関係の記載も秀逸でした。「真の目的を共有して、説明していくことが重要」としつつ、「手段も軽視しない。」ともしっかり書かれているのです。どちらかにフォーカスした本とか説明が多いのですが、堂々と「どちらも重要」と宣言してくれています。「目的が明確になっている方が手段、行動は定着しやすく、それゆえ行動に変わりやすい」と書かれており、ここでもなるほど、、、となりました。目的も手段も大事で、片手落ちではダメな理由がしっかりと書かれていました。

この本は、説明する人にとっても、学習する人にとっても、学ぶ部分が多い本だと思います。

説明者としての自分には、「相手の知識レベルを知ること」「わかってもらう目的を示すこと」「例示」が特に意識されてこなかったポイントでした。まとめると「徹底的な準備」なのですが、具体化ができました。また、学習者とすれば、目的を持ち、手段と割り切りつつ、手段と目的と究極の目的との関係を頭に置いて学習を進めること、また、知識の繋がりや転移に関心を持って学習していっていいんだ、正しいからもっと進めよう、と思いました。

純粋に勧められる本です。

ありがとうございました!また戻ってきます!

この記事を書いた人

相羽涼太

相羽涼太

読書、手帳術、旅行記・訪問記・食レポ、ジム(運動、食事)、英語学習などを中心に記事を更新します。

インターネットの登場で、「考える」ことが減りがちな今こそ、自分なりの軸を持って、考え、発信していくことを大切にしたいと考えています。

SF(上位10位、2019年1月現在):慎重さ、収集心、個別化、責任感、自我、指令性、目的志向、自己確信、信念、学習欲