【書評】「自分思考」(山口絵理子著)〜自分で考えて、時に悩みながらも前に進み続ける〜

しばらくブリに、ビジネス書ではなく、エッセイを読んでみました。

結果として、著者が抽象化を所々でしているため、ビジネス書にも見える形ですが、読物として純粋に楽しめる本です。

はじめに

この本は、バングラデシュ、ネパール等で生産した物を日本で売るという取組に挑戦し、バングラデシュに単身行くことから始めた、女性起業家のエッセイです。25歳で、株式会社マザーハウスを設立し、様々な苦労をしながらも少しづつ前に進んでいく様子が克明に描かれています。

著者も、はじめのところで、「完全にエッセイ」だという旨を記載していますが、ただ、著者がかなり長い時間を使って自分と対話し、「自分の生きる道」を見つけて行った様子が書かれています。

この方は感情型(いわゆる右脳型)の方なのだろうなあ、という感じで、この本にもその旨は書いてありましたが、ビジョンを描くとかそういう能力は始めから高く、論理性とか現実的に考えることは後から身につけていったことが分かります。

考えること

本書のタイトルにも含まれていますが、本書では、思考の重要性を所々で強調しています。

例えば、世界が情報であふれ、Twitterなどでの情報発信が多くされていることについて触れた後で、

「こんな時代だからこそ、私は「考えること、つまり思考すること」が何より大事だと思っている。動くことは「思考」の結果であると同時に、新しい思考に到達するためのヒントになる。一方で思考が伴っていないただの「動く」は誰にでもできて、そこには何の意味もないと思っている。」(187〜188ページ)

という感じで、思考しつつ、動くことを多く主張しています。バングラデシュに単身で向かい、現地の人と色々やってきた様子を読んでいくと、行動力が必要であり、そのための勇気が大切であることは具体的エピソードが既に証明しているとは思いますが、本書で、「考えること」が重視されていることは驚きました。

自分の「心」に従うこと

「過去の自分が、じつは無意識に好きだったこと、惹かれた言葉、あのとき支えてくれた物事、そうしたことが今の自分を構成している。」(24ページ)

この本では、随所で自己分析をしているのが印象的です。例えば、著者は小学校の時学校に行きたくなく思っていたことから、既存の概念ではなく、新しいことを生み出したい想いが強いことを思い至り、行動していきます。また、幼少期にいじめを受けていたことも引き合いに出し、情熱を燃やす分野の分析を精緻に考えています。

特に幼少期の体験を分析し、傾向を考えることが大切であるとは言われますが、その実例を読む中で見させていただきました。

また、「心」の大切さも強調しています。

「自分の心に逆らわない決断は、どんなに辛くても「これしかないじゃない」と、何とか続けることを後押ししてくれる。そのヒントが原体験に隠されているんだと私は考える。」(25ページ)

心が優先で、論理は次点とすることが良い生き方を形成するとは言いますが、心に従うことが重要であることを明晰に指摘した文だと思います。

我々はつい心を殺して、合理的に思える後付けの説明で自身を納得させようとする傾向があるように思います。しかし、誰が何を言おうが、自分の心に従うことが大切だということを思い知らされます。

覚悟すること

これはなかなかできるものではないですが、退路を断つことについてもかかる言及がありました。

「「退路を断つこと」。そこで、自然と覚悟と強さが宿ってくる。他に選択肢のない人と、失敗しても違う道がある人の顔つきはまったく違うし、言葉の重さも変わってくる。そうすると、その人の描く夢に賛同しようと思う人の数も自然と変わってくる。退路を断つのは、本当に勇気がいる。」(75ページ)

筆者がリスクを冒しても、バングラデシュやネパールに進出していったストーリーは、正に退路を断ち、リスクを取ってきたことです。

多分、私が筆者の山口さんにお会いしたら、「強さが宿っている人だなあ」と思うような気がしましたが、それは覚悟の違いによるものかもしれません。

また、こんなカッコイイ台詞もありました。

「0を1にできた人間にしか見えない景色がある。(中略)先頭を歩いたからこそ、広がる地平線の広さを身体で感じられる。」(76ページ)

地平線の広さを身体で感じるとまで言うとなると、相当なんだろうなあ、と思います。私は今は先頭を歩いている訳ではないので分からないところですが、ふと、こういうところに憧れを持ちました。

おわりに

バングラデシュに最初訪問した時に大変だった話は、淡々と書いてはありますが、本当に苦労の連続だったんだと思います。

ストーリーが山のように書かれてはいますが、気楽に読める本ですので、筆者の山口さんという方を知らない方が最初に取る本として非常に分かりやすいと思います。

本はこちら

この記事を書いた人

相羽涼太

相羽涼太

読書、手帳術、旅行記・訪問記・食レポ、ジム(運動、食事)、英語学習などを中心に記事を更新します。

インターネットの登場で、「考える」ことが減りがちな今こそ、自分なりの軸を持って、考え、発信していくことを大切にしたいと考えています。

SF(上位10位、2019年1月現在):慎重さ、収集心、個別化、責任感、自我、指令性、目的志向、自己確信、信念、学習欲

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