こんにちは!
相羽涼太(@ryotaaiba)です。
「プロジェクトマネジメント」という言葉を聞いたことはありますでしょうか。
「聞いたことがある」という方は多いとは思いますが、その中身を説明せよ、と言われると相当厳しいのではないでしょうか。
この本自体はお勧めがあったことがきっかけで手に取りましたが、この本は「マンガでわかる」シリーズではあるものの、しっかりとプロジェクトマネジメントの基礎を教えてくれる本です。
読んだ結果、お勧めされた本から、お勧めしたいと思う本になりました。
はじめに
現在、私は、「逆算手帳」を使いこなそうと四苦八苦しているのですが、その中で、特に使いこなすのが難しいのが「ガントチャート」です。
SEやプロジェクトマネジャーにとっては「ガントチャート」なるものを利用するのは当たり前のようではあるのですが、私は、「ガントチャート」という言葉すら聞いたことがありませんでした。
正確には、モノを見てみると、見たことはあり、建物建設等で「ガントチャート」を使っているのは知ってはいたのですが、使ったことはないので、この話が一番逆算手帳の理解の中で難しく感じました。
こちらの本はその「ガントチャート」を理解する上で、基礎となる知識をまとめたものです。この本自体にはガントチャートの解説はほぼないですが、プロジェクトの管理について、総合的にまとめた本になります。
なお、こちらは一応マンガの形式を取っていますが、文字量もそれなりに多く、初心者〜中級者を十分に満足させるものだと思いました。
プロジェクトの定義
この本では、マネジメントの話に入る前に、プロジェクトの定義の話から入ります。
定義から話が始まるというのは、一見固いイメージがありますが、非常に大切なことで、特にカタカナの言葉はしっかり定義立てて、軸を確認しないと、方向性が定まっていないままに航海が始まってしまいます。
本書において、定義は、「今までにない製品などを決められた期限内につくるような仕事」のことを意味します。これは、要素に分けると、独自性と、有期性の2つの性質に分けられます。
例えば、文化祭の出し物は、過去の実績がある場合が多いですが、違うものを打ち出していく必要があります(独自性)。また、文化祭の開催日は決まっており、その日に向けてクラスメイトは準備していくことになります(有期性)。
プロジェクトの定義は、イマイチよく分からなかったのですが、見事な定義でスパッと理解できました。
マネジャーに必要な能力
こんな定義を持つプロジェクトの管理者には、どんな能力が必要なのでしょうか。
プロジェクト・マネジャーにとって最も大切な能力は、本書によれば、「コミュニケーション能力」にあるそうです。
実際、管理者の仕事は、確認・調整・依頼に8割以上の時間を使うそうであり、コミュニケーション能力というのは、決して話上手である必要はなく、相手の思いや考えを正しく受け止め、自分の思いや考えを相手に確実に届け、理解してもらうことが重要であるとのことでした。
8割がコミュニケーションの仕事とは、正直驚きました。社会人になるまでは、「別にこうした調整役の人間なぞいない方がより効率的に回るのでは」などと考えていたのですが、確実にこうした人間が必要であることを、社会人になって知りました。専門家はそれぞれの分野を出ると全く分からないので、それぞれの分野に横串を刺すような人材が必要になる訳です。
しかし、本書をよくよく読んでいくと、コミュニケーション能力の前に、重要な能力があることを示唆しています。
「あれだけのクオリティーの作品を年2本ずつ発表し続けた管理能力 彼にはプロジェクト・マネジャーとしての素質は十分」(99ページ)
主人公は、プロジェクト・マネジャーは一年生ですが、管理能力を買われてマネジャーとして仕事をしています。つまり、自分自身を管理する能力が必要な要素ということです。
まずは、自分自身が管理できるようになり、そこから他者も含めたチームの管理をすることで、より大きな物事を成し遂げることができるということですね。
コミュ力も向上させていきたいのですが、まず私は、「自分自身の管理能力」を向上させる必要があるんだな、という自分の課題が分かったところでした。
徹底的な準備
本書を読んでいて一番思ったことは、実際のプロジェクト始動までの準備でやることが多いな、ということです。
特に、プロジェクトというと、やってみないとどう転ぶかは分かりませんが、それは分かった上で、できるところまでシュミレーションすることが大切であるとのことでした。
私も、漫画の主人公のように「分からないことだらけなのに計画を作るのは・・・」などと考えていたタイプなのですが、
「不明点を減らすためにプロジェクト計画を作る」(45ページ)
という回答があり、なるほど、と納得しました。
また、解説部分においては、
「まだ計画できないことについては、課題やリスクとして記載しておき、もう少し具体的に計画できる段階になってから、検討を深めればよい」(65ページ)
とあり、課題として別途記載しておけば、プランニングできるな、と勉強になりました。
そして、大きなプランニングの後も、細かいところまで決めた上で、「メンバーに提示する」ことをすることは知りませんでした。「準備が大切だ」とよく言いますが、「これでもか」というレベルで徹底することが必要なんだなあ、と思いました。
見積もりのポイント
見積もり段階でのポイントの記載もありました。これは予算に対する話としていますが、プランニングに適用すると、自分ができていないところを見事に指摘されました。
大切なこと3つ
1.大きな費用がかかる項目を見逃さないこと
2.大きく変動しそうな費用を把握しておくこと
3.そして予備費をある程度盛り込むこと
自分はプランニングがあまり得意ではなかったのですが、この3点の実施が全く足りなかったのだと思います。
ポイントを捉えず気になったところから取り組み、バッファーを作らずプランニングしてしまう。さらに、変化点の予想をしていないので、対応できずプランが後ろ倒しになってしまう。
こうした悪循環が生じている原因を見事に指摘されました。
実行段階のポイント
プラン作成で時間を使いますが、実行段階でも注意が必要です。特に、この点が重要です。
「リスクは一度洗い出せば良いというものではなくてプロジェクト期間中定期的に確認・見直しが必要」「リスクへの対応方針として回避、軽減、転嫁または受容のどれをとるか決め 次に具体的な対策を決めておく」(116ページ)
予め対応方針を決めておくことが重要だと理解しました。常に先手を打って考えることがマネジャーとして大切なんだなあ、と強く感じる記載でした。
おわりに
・プランを練ること
・プランを練ることに時間をしっかり使うこと
・プラン作成後も都度見返し、プラン変更すること
・リスクへの対応方針は予め決めておくこと
・当初の目的を見失わないこと
・即行動すること
など、私は、セルフ・プランニングの学習目的でこの本を手に取りましたが、学べることが多くありました。
いずれにしても、実践してみることが大切ですね。基礎のところがかなり分かりやすく学べる本でした。