【書評】「他人に振り回されない自信の作り方」(齋藤孝著作)〜自分の軸を真っ直ぐ一本、二本と立てていく〜

本書は私が持っている本ではなく、借りて読んだ本です。借りたものなので、むやみにラインを引いたりできないのですが、人間というのは不思議なもので、そういう制約が課されている時ほど余計にマーカーを引きたくなるし、(いつもはそこまでしていない)本への書き込みもしたいなあ、と思いながら読んでいました。

本書も、やはり齋藤孝さんらしい本ですね。帯には、「自信=自芯」とあり、自信を付けるためには、心の軸となるような「芯」を持て、と記載されていますが、間違いなく齋藤さんの「芯」を為しているのは、本であり、その中でも、「哲学書」と「文学」であることが本書を見て分かります。

もちろん抽象論もしっかり記載されているのですが、齋藤さんの中で、「哲学」と「文学」が自信の根源となっていることがひしひしと伝わってきます。

はじめに

この本では、「自信を作るためにするべきこと、大切なこと」というエッセンスの下、タイトル名に解釈を加えると、「自信を作る技術」「対人関係」「心と身体の安定」「発展・すべきこと」の4つの章に分けて、述べられていきます。

「自信」という軸は持ちながらも、想像以上に色々な分野に言及されるので、一冊での網羅性が高い本だと思います。

そして、先ほども似たようなことを書きましたが、齋藤孝さんが著者なので、文学や歴史や哲学の話が所々に出てきます。

抽象論は理解できますし、納得できるものですが、この各論部分が歴史的な例示をされるので、その例示の方が難しく感じるというスタイルです。文学好きには分かりやすい本だと思いますし、「文学の転用」という文脈では学びが多い本だと思いますが、そこのあたりは一般受けはあまりしないだろうなあ、と思いました。

現に、200頁ほどの本だったのですが、私には300頁くらいあるように感じられました。

それでは、内容に入っていきます。

自信を作る技術

多岐にわたる言及がありましたが、一番のメッセージは、「経験は自信の母」(42頁)というところだと思います。

これは類書にも書いてあることですが、そしてこれは自信を付けるという観点に限らないと思いますが、やはり「経験すること」が大切です。経験が積み重なることで、徐々に自信に繋がっていきます。

色々とがむしゃらに経験することも大切で、経験しないと「やりたいこと」も分かってきません。「経験できないことはイメージできない」と書くと当たり前なのですが、これまでの私は、経験していないイメージの上で、なんとなくイメージしていたので、目標設定とかもなあなあで作っていたのだと思います。

どの本でも書いてありますが、直接の経験が大切ですね。

また、目標設定で、スモールステップを踏むことを考える際に、デカルトの合理的思考を使おう、という話が斬新でした。のちにニーチェの話も出てきて、生命力とか直感力も大切だという話が展開されるのですが、デカルトが「我思う、ゆえに我あり」と思うに至ったように、無駄なことは排し、シンプルに考えることの大切さを知りました。

デカルトといえば、「根拠を明示し証明できるもの以外は受け入れない」と考えていったことが有名ではありますが、その後には、小さく分割し、順序立てて考えることもあり、最後には、すべての可能性を検討したか、見落としがないか検証するところも含まれます。

特に、「小さく分割する」ということは、デカルトも強調しているとは思いませんでした。スモールステップが大切なことは色々なところで言われているとは思いますが、それを遡るとデカルトにまでなることも初めて知りました。

なお、本章の中で、個人的に好きなところは、才能のある・なしは「疲れない」がポイントというところです。

私は、これまで「楽しい」とかワクワクとかそういったことを軸にすることが大切だ、と思いつつも、そうした分野でピンと来るところはないなあ・・・と思っていました。

しかし、それで良かったのです。正確にいえば、そこからのスタートで何ら問題ないのです。

考えてみれば、それも当たり前ではあるのですが、最初からピンと「これだ!!」と思うのは、現実として当てはまる確率が低いと思います。

具体的には、論語の教えによれば、「知っている→好んでいる→楽しんでいる」という段階を踏むということでした。つまり、「楽しむ」というのはやり続けることで感じる最終段階ということでした。

その最終段階を感じることを最初に考えていたので、あまり上手くいかなかったのかなあ、と思っています。それを「疲れない」と考えれば、かなり気楽になってきました。

こう書いていくと更に思うのですが、「自分」が「自分のこと」を一番良く知っていないといけないのに、自己分析がまだまだ足りていないことに気づかされました。

本章には、「強み」と「弱み」を理解し、「強み」を活かすといったことも書かれているのですが、読んでいけばいくほどに、自分のことを深く理解しなければな、と強く思いました。

ちなみに、「型の練習によりセンスをカバーする」という言葉もあり、強く印象に残っています。型の練習は地味なので、私はあまり好きではないのですが、型というツールが、センスをカバーすると考えると、しっかり理解しないとな、と思えて来るので不思議でした。

対人関係

対人関係の章では、「メンター」の記載が印象的でした。

最近、「メンター」という言葉をよく聞きますし、メンターを持つことが大切と言います。実際に、会社の中でも、「メンター制度」なるものが存在し、メンターになっている方もいると思います。

しかし、「メンター」の意味することを、しっかり理解していないと思います。私はこの本を読んで、メンターの理解が深まりました。

本書ではこのように紹介されています。

「メンターとは、「その人のような思考法ができるようになるための心の師のこと。・・・「心の師」ですから、その人を慕い、謙虚にアドバイスを仰ぐ習慣をつければいいだけです。」(99頁)

更に、複数持っても、変わってもよいとも記載してありました。

そうなると、「メンター制度」が存在していること自体がそもそも間違っているといえます。メンターは、慕う方が勝手にメンターとして考えているということです。

また、コーチは、目標達成のための戦略や行動指針を与えてくれる人であるため、技術的な側面が大きいですが、メンターは、生き方として憧れる存在といいますか、自分に人生の気づきやヒントを与えてくれる存在とのことです。

私にも何名か身近にメンターがいますが、上記の定義を考えると、「謙虚にアドバイスを仰ぐ習慣」は私にはついていないなあ、と反省しました。最近よく考えますが、フィードバックとして、「アドバイスを求める」ことが必要だな、と強く感じます。まだ出来ていないのですが、おそらく原因は、自分を見せることに恥じらいがあることと、アドバイスを求める積極性に欠けることがあります。しばらく後者が原因だと仮説を立てていたのですが、どうも前者の要因の方が大きいと実感しています。自己を晒すことは恥に感じる部分が私にまだ残っていますが、来年は自己開示を重視したいな、と思いました。

また、これに関連して、本書の言葉を引くと、

「自分以上に自分を客観的に鋭く分析して、どうするのがいいかを助言してくれる人がいれば、大変心強い」(98頁)

ということでした。自分を客観的に分析してくれる人はありがたいですよね。最近ズバッと私の得意と苦手を指摘されたことを思い出しました。

心と身体の安定

この章では、呼吸の大切さなども記載されてはいるのですが、メインとなるメッセージは、「心と身体は繋がっているから、身体も大切にしなさい」というメッセージだと理解しました。

身体を動かすことで、恐れずチャレンジするメンタリティを得ることができる、というメッセージが入っていました。例示で、富士山の登頂が書かれていましたが、例として絶妙だな、と思いました。

富士山の登頂は、「なぜするのか」と言われると、子どもであればあるほど分からないと思います。確かに、10代の頃などは特に、なぜ大人は、フルマラソンを完走したり、富士山登ったり意味のないことをするのか、と思っていましたが、最近はなんとなく理解できるようになりました。そして、その理由はといえば、「9歳ごろまでのチャレンジしたくなる本性」を取り戻すためということが本書に書かれています。

私は強く納得しました。大人になればなるほど、子どもレベルのチャレンジ精神はなくなっている気がします。特に、大企業や無難に動くことが是とされている会社では、そうした精神は削がれてしまいます。

そうした時に、身体を動かし、キツイレベルの挑戦をすることで、メンタリティを取り戻しているということでした。

かなり納得がいきました。現に私も、「イキイキ仕事をしている」と思っている時はあまり山(私の場合は高尾山ですが)に登りたいとは思いませんが、暇な状態でイキイキしていないと、なぜかふと山に登りたくなります。

その結果として、指針とするべきは、「自分の身体が湧き立つ方に向かうこと」(152頁)という言葉もありました。

イキイキするという考えは持っていましたが、「身体が湧き立つ」というイキイキしている表現に出会ったことはありませんでしたので、いい指標だな、と思いました。

発展・すべきこと

ここでは、終章として、他人と比べず、自分軸を持つことや、人との交わりは淡白な方がいいことなどの具体的アドバイスが色々書かれています。

しかし、私が好きなのは、少しサイドストーリー的なところにはありましたが、「ほめられたら否定しない」ということです。

「〇〇がいいね!」と褒められた時、私はどう対応していいかわかりませんでした。一般的には「いえいえ、そんなことないですよ」と謙遜するのがいいのかな、とも思いますが、褒められて嬉しいは嬉しいので、わざと謙遜するのは実際難しいです。結果的に、「ありがとうございます。恐縮です。」という感じで回答しているのですが、本書のアドバイスが個人的にはかなり参考になりました。

その言葉こそ、

「そう言ってもらえると自信になります」

です。自信ない部分を褒められたときは、「これからの自信になります」という表現も発展として紹介されていました。また、「そう言って貰えると嬉しいです。自信になります。」がより丁寧だ、ということも述べられていました。

実際使うとどう思われるのかは想像できませんが、少なくとも、「自信になります」という表現はいいな、と思いました。

おわりに

こうやってまとめてみると、段々と「色々といいこと言っているな」と思うようになってくる本だと思います。

私には一度で飲み込める本ではなかったです。あとは、齋藤孝さんの本を読むといつも思うのですが、「自分って教養ないなー」と思います。文学などへの興味がそもそもあまり高くないことが分かってきたのでまあ良いのですが、大学時代とかに数度目の齋藤孝作品を読んだ時、自分の教養のなさを強く感じたことを思い出しました。

本はこちら

この記事を書いた人

相羽涼太

相羽涼太

読書、手帳術、旅行記・訪問記・食レポ、ジム(運動、食事)、英語学習などを中心に記事を更新します。

インターネットの登場で、「考える」ことが減りがちな今こそ、自分なりの軸を持って、考え、発信していくことを大切にしたいと考えています。

SF(上位10位、2019年1月現在):慎重さ、収集心、個別化、責任感、自我、指令性、目的志向、自己確信、信念、学習欲