文章を書いたりする時に、「文体」は大切な要素の一つになります。
その「文体」を考える題材として、楽しく読める本としてお勧め頂いたのがこの本です。
はじめに
この本は、はじめから終わりまで「パロディ」で一貫した本です。
有名な著者の、有名な著作になりきって作者陣がカップ焼きそばの作り方を展開し続けます。
特に、その本を読んでいたり、作者の文体を知っていれば、興味深く感じたり、かえってこれはイマイチだな…と思ったりします。
他方で、元ネタを知らなくても、文書は同じカップ焼きそばなので、文体の違いを楽しむのに使えるし、「ここまで文体って色々あるんだな〜」という発見もありました。
文体模写
こうして色々な「カップ焼きそば」の作り方を見ていて、一番強く思ったのは、
「フォーマット文や、タレントに近い方の模写の方が完成度が高く、文豪とか博識な方の模写は、イマイチだと感じることが多かった」
ということです。
パロディは、一側面を拡大して誇張することで面白くなる場合も多いと思うのですが、それでも、語彙が豊富で発想力に長けていると思われる人の模写ほど、上手くパロディをやるのは難しいのだな、と感じました。
人には「パターン」があること
似てる、似てないの違いはあるのですが、本書を読んで、人の書く文にはそれぞれの「パターン」があることを学びました。
カップ焼きそばの作り方でいえば、端的に伝える方法もあれば、わざと分かりにくく書いている方法や、大きく話が脱線しつつ、元に戻っていくという方法もあります。
また、雑誌(プレイボーイ、VERYなど)や新聞や広告も書かれており、その文体が結構似ている部分を感じて面白かったです。内容がないのに、それ風になるというのは興味深くもありました。
モノマネはやっぱり「誇張」が面白い
この本を読んでいて、面白いと思った部分と、うーん、、という部分と両方ありましたが、マネをしていて面白いのは、やっぱり「誇張」だな、と思いました。
ありのままの再現は面白くなく、少しねじ曲がっても、如何にも本当に言いそう・書きそうなことを言う・書くこと。
パロディにおいては「誇張」ですが、それは特徴でもあり、独自性でもあります。そうした特異性を伸ばすことが大切なのかな、と考えていました。
おわりに
本書自体は、ただただ「カップ焼きそば」の作り方が並んでいるだけです。しかし、その中で、文体の違いを楽しむことができれば、この本を読む価値が大きくなってくると思います。
文章には、色々な書き方があることを身をもって知ることができました。