【書評】「道をひらく」(松下幸之助著)〜折に触れて見返した方がいいと感じる、含蓄溢れる書籍〜

こんにちは!相羽涼太(@ryotaaiba)です。

プレジデントのビジネス本特集の回(2018.10.15号)で、必読書としてベスト10入りしていた本こそ、この、いわゆる「経営の神様」松下幸之助さんの「道をひらく」です。

【参考】プレジデントビジネス本特集会の記事

はじめに

まず、この本は、松下幸之助さんの自伝とか、考え方の詳細を述べられたものではありません。まえがきにありますが、これは、PHP研究所の機関誌の裏表紙に連載されて来た短文の中から選定され本の形式に再編集したものです。

とはいえ、この本があまりに有名なのは、当然松下さんの功績(パナソニック創業者としての実績)もありますが、この本に書かれていることが、人間の成長にとって大切な本質が書かれている点にあると思われます。もちろん、それを、かの松下幸之助が言っているということも大きいですが。

そのため、文脈というものがないので、「通読して楽しむ」タイプの本ではなく、どちらかといえば、「折に触れて見返す」タイプの本だと思います。

実際、プレジデントの該当ページでも、今の経営者の方々が、「バイブルのように見返している」とのことでした。

そのため、通読しようと思うと結構労力が必要ではあるのですが、それでも、松下さんの強いエネルギーを断片的なメッセージから感じ取ることのできるような本でした。

目標設定について

ここから具体について数点触れていきます。
本書は、一部「今は少し違うかな」と思えなくもない部分もありましたが、基本的には色褪せない普遍真理が270ページ程度にわたって記載されていました。

まずは、目標設定に関してです。

「志を立てよう。本気になって、真剣に志を立てよう。生命をかけるほどの思いで志を立てよう。志を立てれば、事はもはや半ばは達せられたといってよい。」(14ページ)

人生を充実して生きるために、目的・目標をしっかり持て、というメッセージと受け取りました。目標設定を命がけでやっているか、と問われると命がけではやってないし、志を立てれば半分はクリアも同然である、というところまで、目標設定は重要なことだとはみなしてきませんでした。

しかし、しっかりと自分の志を持つことが大切だ、とおっしゃっていました。目標というかどちらかというとビジョンの方が正しい表現ですね。

私自身はまだ明確なビジョンが決まっておりません。その意味でまだ本気さ、真剣さが足りないのだな、と思いました。まずは目の前にあることからやっていく中で、ビジョン(天命)を見つけたいと思いました。

「なぜ」の大切さ

松下さんは、子供の時の熱心さと同じ勢いで持って、「なぜ」を問え、とおっしゃいます。

「日に新たであるためには、いつも「なぜ」を問わなければならぬ。そしてその答を、自分でも考え、また他にも教えを求める。素直で私心なく、熱心で一生懸命ならば、「なぜ」を問うタネは随所にある。」(47ページ)

思い返すと私は子供の頃そんなには「なぜ」と疑問に思って生きてきていない気もしますが、「なぜ」と立ち止まることが大切である、というのは大切であることは、身をもて強く感じています。

本当に、「なぜ」としっかり聞かないと、「知ってるふり」をし続けることになってしまいます。最近は特にカタカナ英語が増えてきて、知ったかぶりをしている率が増加しているのではないかな、と思います。

しっかり立ち止まり、考えること。そういう意味では、まだまだ童心にかえる必要があるのかもしれません。

人に聞くこと

そして、上記の「なぜ」にも関係しますが、人に聞くことについても、さらっと名言が書かれていました。

「わからなければ、人に聞くことである。己のカラにとじこもらないで、素直で謙虚に人の教えに耳を傾けることである。それがどんな意見であっても、求める心が切ならば、そのなかから、おのずから得るものがあるはずである。」(103ページ)

まず、素直で謙虚に耳を傾けること。これは、物事の知識が浅い段階では、意識せずともできるのですが、段々と深くなってくると、知識の連携でなんとかやっていけるだけに、人の意見を素直に耳を傾けることが難しくなってきます。なまじ経験があると、ついつい「自分の過去の経験」に照らし合わせて考えてしまいます。

そこで、特に知識がある程度ついた時に自分にしっかり刻みつけるべき言葉が、下段の言葉です。求める心があり、その心で持って聞いた意見は、一見無意味にしか思えなくても、「おのずから」得るものがある、ということです。

つまり、意見を聞くことで、自分の中の頭がより整理され、自分で物事を理解できるようになってくる、という意味となるのではないでしょうか。そうなると、万人の意見を聞いて、参考にするところは参考にしつつ、参考にできなくとも、その意見から考えることで、自分で発見することができるというメッセージと受け取りました。

最近、こうした討論とか話し合いの意味合いが少しだけわかってきたのですが、少し前までは、こうした「打ち合わせ」の場が無駄ではないか、としか思わなかった自分がいます。

しかし、他山の石効果もあるので、意見を聞くという行為に意味がしっかりあるということを学びました。

世間について

そして、社会との繋がりとかそういった部分では、このコメントがダントツで印象に残りました。

「めくらが千人いれば、目明きもまた千人いるのである。・・・世間はきびしくもあり、暖かくもある。だから、世間に対しては、いつも謙虚さを忘れず、また希望を失わず、着実に力強く自分の道を歩むよう心がけたい」(115ページ)

ダメな意味での適当にやっていてもバレないこともある。しかし、しっかりした人がいるからいずれ露呈する。

逆に、堅実に努力を積み重ねても、日の目を見ないこともある。しかし、努力を続ければ、どこかで、目利きのしっかりした人に見つかる。

こうしたメッセージが込められています。

だからこそ、努力を積み重ね、成長していけば、すぐにいかない場合もあるが、どこかで見初められるということを学びました。

「世の中」という存在が分かるようでわからないな、と思ったことがありましたが、「こういうことなのかもな」と少し理解が深まった気がしました。

おわりに

この本でも、経験することが大切であるということが書かれていました。その文脈で、苦境を経験することも、経験の一種なのだから、大切にすべきことが述べられていました。

窮境に立つということは、身をもって知る尊いチャンスとのことです。
禍いを転じて福となす、という意味の、「一陽来復」という言葉も紹介されていましたが、この言葉は映画のタイトルであったぶりぶりに聞きましたが、いい言葉だなあ、と改めて思いました。

あとは、本書は、本当に折に触れて見返していくと、毎度違う顔を出しそうな匂いがするので、本棚に入れておくリストの一として、都度見返していこうと思います。

本はこちら

この記事を書いた人

相羽涼太

相羽涼太

読書、手帳術、旅行記・訪問記・食レポ、ジム(運動、食事)、英語学習などを中心に記事を更新します。

インターネットの登場で、「考える」ことが減りがちな今こそ、自分なりの軸を持って、考え、発信していくことを大切にしたいと考えています。

SF(上位10位、2019年1月現在):慎重さ、収集心、個別化、責任感、自我、指令性、目的志向、自己確信、信念、学習欲

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