【書評】言葉は相手にどう伝わるかが大事〜「伝え方が9割」(佐々木圭一著)〜

先日、「プレジデント〜ビジネス本総選挙〜」という雑誌を読んだ時、本書が言葉の伝え方・コミュニケーションの部門で1位になっていて、吉田たかよしさんも絶賛していたので、手に取ってみました。

やっぱり人が推薦しているものはいいものが多いです。興味深く読めました。

伝え方の技術の見つけ方

「いいコトバが集まっていると言われる詩集、書籍、名作コピー集を読みあさりました。・・・ノートに書き写しました。くる日もくる日も、読み続け、書き写していると、気になることが出てきました。」(31ページ)

このように、本書を記載するにあたって辿ってきた経緯が最初に書かれています。苦手えだからこそ、向き合って、技術として昇華させたことが赤裸裸に書かれています。

やっぱり「試行錯誤」が大切なんだな、と心から思いました。この伝え方の技術を一番使いこなしている人物こそ、この著者の佐々木さんです。書籍という形で伝えようとはされていますが、それでも開発者を上回るには相応の努力を要する訳で、こうした努力というか習慣が大切なんだな、というのが本書からの学びでした。

個人の情報発信の時代

現代の個人の情報発信力の強まりを指摘しており、だから今伝え方を学ぶことが大切だ、という論調で説明されています。

その背景として、情報の洪水と、組織への疑いの念をあげています。

情報の洪水については、既に自身が情報多すぎだなあ・・・と日々感じていますが、本書によれば、「世の中の情報量は、10年で約530倍になった」(115ページ)だそうです。このレベルなのか・・・と驚くと同時に、その後に、だから「個性のない弱いコトバは無視される」というのは絶対的な真実だなと感じました。

組織の疑いの念は、正にその通りですね。マスコミのポジション・トークがネットの検索でバレる時代になり、疑いの念を向けられるようになりました。本当の大企業(世界的大企業)以外は大企業は淘汰される予報も所々で見かけますが、予測なので分かりませんがまあ正しいと思います。

この本2013年の本ですが、2018年現在も状況は全く同じですね。情報発信の必要性を丁寧に説明していただき、色々考えながら読み進めたところでした。

プロとアマについて

意図せず、何となく理解していた事項が本書を読んで理解できました。それが、プロとアマの差です。

アマがプロを凌駕することがたまにあります。それでもプロはプロとして認知され続けます。その違いは何なのでしょうか。

回答が本の中にありました。

「何ごとでもプロとアマの違いは、常に成果を出せるかどうかです。」(113ページ)

とのことです。そして、著者は、プロであるために、

「プロとして一定レベルのコトバを書けるように技術を体系だてました。」(114ページ)

ということでした。だから体系立てて考えることが大切なのか!と妙に納得しました。

今回、差異をしっかり理解できたので、すぐにではないにせよ、ここから、情報発信含め、いくつかのプロになっていきたいと思いました。

ギャップ法

これは、「意識して、反対のコトバを入れることで、強いギャップをつくりだ」(134ページ)す方法です。

分かりにくいので、具体例から述べるとこのようなものです。

「嫌いになりたいのに、あなたが好き。」

「これは私の勝利ではない。あなたの勝利だ。」(オバマ大統領就任演説)

「嫌いになりたいのに、あなたが好き。」とか、女性が男性に言った方がいいとは思いますが、実際に言われたらどう考えても凄く印象に残りますね。そもそも言葉を聞くだけで結構シビレます。

これを意図的に生み出して伝える方法が書かれています。作るのはすぐには出来ないとは思いますが、体系立てて理解することで、伝え方を相当考えるようになるので、大きな意識改革には既になっています。

そんな記載がされている中で、私が一番胸を打ったのは、この言葉です。

「私は政治について、知見があるわけではありません。ですがコトバの専門家として、日本の政治に圧倒的に足りないのは、「政策」ではなく「感動」だと思っています。人は規則では、動きません。人を動かすのは「感動」です。」(137ページ)

知見ないと謙遜されてはいますが、正にその通りだと思います。政策を伝えることは大切ではありますが、聞く気持ちになっていない人にはいくら言っても、そもそも聞いていません。そうした無関心層が興味を持つのに大切なことが「感動」であると思います。

人は「感動」で動く。いい言葉だなあ、と思います。

赤裸々法

赤裸々法とは、「ふだん意識していない、自分の感覚に向き合います。人間としてそれがあたりまえだから、今までコトバにしなかったものを、あえてコトバにする」(152ページ)方法とのことです。

例えば、

「朝、目が覚めると泣いていた」(世界の中心で愛を叫ぶ)

「息を切らしてさ 駆け抜けた道を」(終わりなき旅/Mr.children)

などがこの例になります。

私はミスチルファンなのでまず目を引いてしまったのですが、セカチューの上の言葉も、かなり凄まじいパワーがあります。

言葉に生命力を与える方法としての赤裸々法。使うのは相当難しそうですが、感動ワードを作りたいな、と強く掻き立てられました。

おわりに

終章に、「長文を作る技術」も紹介されており、タイトルの大切さにも触れられています。

何より、本書を読むと、「自分はもっと言葉に真摯に向き合うべきだな」と反省させられます。

広告業界でキャッチコピーを作る仕事、カッコいいですね。著者の佐々木さんのような方が上司にいれば、かなり文章力上がるだろうな、とふと思った今日です。

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